パルフェタムの対魔忍軍が多数、暮らしている宿舎は表向きは
彼女がオーナーとなっている、とある企業の社員宿舎のマンションだった。
対魔忍屋敷と呼ばれるパルフェタムの家族が住む居館と対魔忍の
指揮をとる大きな建屋が連なってい存在している。
その一角、名も無い下忍に偽装したミサキが潜んでいる。
ナトラ「戻りましたミサキ様」
影の中から人間に擬態したナトラが現れる。
主人の前で膝を曲げ、跪いて服従の姿勢を示す。
ナトラ「追っ手は始末しましたが手強い敵でした。潜入している事が露見したと考えたほうが良いかと・・・ミサキ、妾の勝手な考えですが、魔人の尻尾も掴んだ事ですし、今回の任務の目的は果たしたと考えます。ここが潮時ではないかと・・・逃げ道は確保してあるゆえ、ご準備を」
ナトラはミサキに念を送り、マンション内を徘徊する
蜘蛛が捕らえた映像を見せる。
それは、完全武装の対魔忍が階段を駆け上がる後ろ姿が映っている。
既に忍び込んだパルフェタムの屋敷で、魔人がうら若い
JS対魔忍に加えた、悲惨な肉体改造した有様は
すべて露見したといって良い。魔人の姿もマイクロフィルムに撮影した。
パルフェタム一家全体が、その掌中に陥落した事実を、
いけ好かない女政治家に一刻も早く届けなければならない。
ナトラ「妾について来て下さい」
そこはマンションの10階だが、
ナトラは窓を開けてバルコニーの手摺りから
身を躍らせ、主に促すように闇夜に身を投げ出す。
真っ暗な路地裏に音もなく着地すると、無音のまま
ナトラは自身で罠を張リ巡らせた廃工場へと
一切振り返らず、一直線に真っ暗な道を駆け抜け・・・
ノブが付いた古いドアを開け、闇夜で真っ赤に光る蜘蛛の目が
一瞬ミサキと視線を合わせ、不可解な微笑みと共に
ドアの中へとその身体が滑り込む。
ミサキがそれに続いてドアに飛び込むと、そこは無人で・・・
非常灯で照らされた真っ暗な廊下の先に遠ざかる足音だけが響いている。
背後のドアの向こうには、対魔忍と思われる気配・・・
ただならぬ不安な気配・・・それは長年、一流の潜入捜査官として
場数を踏んだミサキの本能が、何か妙だと告げているが、
進退窮まった状態に置かれたミサキは、廊下を奥へと進まざるを得なかった。
走り抜けた廊下の先でで
突然、視界が開ける。
何もない廃工場の広い空間の真ん中、天窓からの月明かりの下に
ナトラが立っている。両目が爛々と赤く光らせる様子は
ただならぬ気配を発している。
ナトラ「こちらに♪・・・こちらですよ、我がご主人さま、ミサキ♪早くおいで下さい♪ほら、何も心配する事などありませ♪こちらに・・・♪」
明らかに怪しい様子だった。それはミサキが目にした事のない
妖艶な手招きだった。
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