やはり話すべきではなかった…俯いたまま無言の遥を見ながら進一はそう後悔した。
何もかも包み隠さず話して欲しいと言われたが、遥くらいの年頃の娘がまともに聞いてくれるような話ではなかった。
だが遥は、真摯に進一の話を受け止め、健吾のことについて娘である以上どうにもならないと謝ってくれたのだ。
しかも何もできない代わりに何かできることをしてあげたいと…
進一は耳を疑った…進一の思っていた以上に遥の優しさは大きなものだったのだ。
「これを…飲んだら…今日は楽になれる?」
「お父さんに勝ちたい?」
まさか…まさか…
遥は、進一の告白を聞いた今でも手のひらで精液を受け止めたままだ。
身体から放出しなければならない「モノ」でなく、男のドス黒い欲望な塊と分かった今でも零さぬよう大事そうに…
急速に心臓が早鐘のよう鳴る…この世の終わりかと覚悟しただけに遥の言葉には大きな衝撃を受けた。
「…………の、飲んで…く、くれるの?あ、あんな話をした僕の…僕の…せ…精液を…」
何度も息継ぎをしないとならないほど胸が締めつけられ、ようやく言葉を口にした進一…
「か、勝ちたい…遥ちゃんのお父さんに…勝ちたい!お父さんにはできないことを…してくれるなら…勝った気がする…でも…でも…やっぱりそれはダメだよ…そんなこと…遥ちゃんにさせられない…」
遥を騙しひどいことをしておいてと…自らの矛盾を感じながらも次の遥の言葉に何かを期待していた…
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