しどろもどろの苦しい言い訳をして目を伏せた進一には遥の侮蔑する顔と鬼の形相の健吾の顔が見えた。
何故あんなことをしてしまったのだろう…もしバレれば どうなるかは想像できたはず…
「……やろ…そんなん…」
激しく罵られるとばかり思っていた進一の耳に遥の声が聞こえた…それは怒鳴るわけでもなく感情を押し殺したような声だった。
顔を上げた進一は、初めて見る遥の表情に耐えられなくなり再び目を逸らした。
親が子を怒るのではなく諭すような遥の言葉が胸に刺さる…呆れて突き離すのではなく進一のことを心配してくれているよう…
怒っていないのか…いや…そんなはずは…
「辛い事があったん?大丈夫?」
「あんなことして…気持ちは晴れたん?」
「お父さんに勝てた?モヤモヤはスッキリしたん?」
「これも…飲んで欲しいって思うん?」
「正直に言って…」
進一は遥を見つめた…遥の目は、決して問い詰めているわけではなかったが、嘘はつくなと言っているように見えた…
「………しょ、正直言って…遥ちゃんに…あんなことをした時は…達成感…みたいなものはあったけど…気持ちは…晴れるどころか…欲が出てしまって…もっともっとって…思ってしまって…遥ちゃんのお父さんのことも同じで…その時は勝ったって思えたけど…すぐに遥ちゃんとお父さんご一緒にいるのが頭に浮かんで…モヤモヤはいつまで経ってもなくならないんだ…」
進一は言葉をつまらせながらも正直に心の中を話しはじめた。
「僕には…少しヘンなところがあって…女性と…その…セックスをするより…手や…口でしてもらうほうが好きで…顔や…口の中に…出すのにすごく興奮を覚えて…そのことは…奥さんにも…誰にも話したことはなくて…ずっと隠してきたんだけど…この町に帰って来て遥ちゃんと再会して…これまでひた隠しにしてきた気持ちが抑えきれなくなって…遥ちゃんがとっても眩しくて…こんな気持ちになったのは久しぶりで…堪らなくなったんだ…だから…あんなことを…ほんとは…パックだと嘘をついたり…溜まっているから出さなければって理由をつけたりじゃなく…したい…と思う…それも…ほんとは…飲んで…欲しい…と思うよ…」
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