(次の導入です)
ありえない現実を、
アイハの妹イルハは静かに観察していた。
チームの中で最も隠密作戦に秀でた彼女は
気配を消し、部屋の隅から
淫らな饗宴をじっと観察し続けていた。
その右手は天使にあるまじき、自身の股間を
慰めるという行いを犯しながら・・・
(あらあら♪3人共こんな事になるなんて、恐ろしいわぁ♪どうしようかしらぁ?あぁ・姉さま♪姉さまぁぁ♪淫乱に堕ちても凛々しいお姿♪あぁ♪ミルクを気持ちよさそうにぴゅっぴゅしてる♪なんて幸福そうな顔♪)
しかし、彼女は甘い欲情の裏では
勝てる作戦を求めて必至に思考を巡らせる。
最悪の事態となってなお、勝たなければ
姉を失ってしまう。自分の愛するものを
絶対に取り返すのだと心は決まっていた。
魔女がどれだけ強大であろうと
神の代行者たる天使が敗北する訳がない。
しかし天界が誇る最高位の大天使アイハと
妖魔を幾百も葬ってきた戦天使の実力者が2人とも
難なく陥落した。その重い現実を受け止めざるを得ない。
幾人もの高位魔族との頭脳戦を経験した
大天使レイハ・リリシエラでも、
妖魔がどのような手段を使って
天使を堕としたのか理解できなかった。
まさか天使という存在そのものが、
妖魔にスイッチを切り替えられるだけで
簡単に、その家畜へと堕ちてしまう存在とは
全く想像だに出来ない。
(姉さまが、あんなにフシダラになるなんてあり得ない。洗脳かしらぁ?そうでなきゃ男嫌いのイグレテアとイフィちゃんまで簡単に堕ちたのは説明できないけどぉぉ?この秘密は厄介だわぁ)
イルハは気配を消したまま部屋を後にする。
おっとりした顔で爆乳の下に腕を組み
頭を捻って唇に右の人差し指を当てて
何か作戦はないかと思考を続ける。
正攻法では自分も罠に落ちる。
「皆があの有様なのにシャクティちゃんは勝手にどこかに行っちゃうし、イルハをひとりぼっちにしちゃうんだから、わがままさんで困った物ですね」
チームに作戦前に加入した残るひとり
戦天使シャクティの行方は分からない。
頼りない新人だが戦力としては
数えられない。
やがて、少々汚い手しかないと結論する。
魔女が油断した所を背中から刺す。
これしか術はない。
魔女は四六時中、配下に護られている訳ではない。
恐らくは彼女がひとりになる
寝室で待ち伏せるのが最も油断を誘う。
アジト内の気配から探り出した
その場所に辿り着くと
レイハは隠遁術を更に堅固に施し、
自身の気配を完全に消し去ると
魔女の寝室に飾られた天使を模った
石像たちの傍らに隠れ、
ひたすら息を潜めてその時を待つ。
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