イグレテアの舌はもう淫紋の力だけではなく
自身の意志で魔女の舌に絡まり始めている。
吐きかけられた魔女の唾を舌の上で転がし、
自分のそれと混ぜ合わせる。
口腔内に広がる淫呪術の黒い痺れすら心地よく、
すべて蕩けてしまうと錯覚する、
官能的な味に酔いしれながら、
淫蜜カクテルを喉に流し込む。
魔女は更に強く唇を寄せてイグレテアを求め、
それに応えるように天使の長い舌が
魔女の口の中へと伸ばされ、お互いに
口腔を貪り合う濃厚なキスを交わす。
ジュルッ・ズズズッッ・ちゅぷっ・ちゅるっ!ジュルッちゅぱっ・ジュブルルッッ
天使の頭を逃げないよう固定していた魔女の手は、
もはや離れ、ボーイッシュな首筋に預けられているのみ。
2人は顔を上下左右に動かしながら、口腔の深い部分を、
隅々までしゃぶろうと、ひたすら唇と舌を
動かし続けていやらしく交わり、
セックスよりも濃厚な口腔快楽に酔いしれる。
(何を・してるんだ!?僕・は・!??愛しいイフィ!!僕は!!!あぁぁ駄目だ!?イフィィ!消えないで!!!)
必死に意識を集中させるが、記憶の中に浮かぶ顔は、
すでに輪郭だけののっぺらぼう、
表情を全く思い出せない。
(!?誰だっけ・僕は・この人を愛していた・ハズなのに・思い出せない!!駄目!違うんだ!愛してる・・・だから・消えないで!!!イグっっ!!また舌!!!いぐぅぅ!!)
口腔をザラザラと魔女の舌に愛撫され
ビクッ!!!と背筋が跳ねる。
その甘い絶頂電流が脳に走るたび一つずつ、
弾けるように愛しい人は脳から
こぼれ落ちるように霧の向こうに隠されてしまう。
(キモチ良い・このキス・好き・大好き・誰だっけ!?行っちゃヤダ!!!僕を・捨てないで!嫌っ!んっっ・魔女・魔女・この人は僕を見てくれる!?・僕を・もっと・僕を・僕を捨てるのって・誰だっけ!?愛してる!?誰を???あぁ・あの娘・僕の愛しい・・・魔女さま!?ああそっか・僕は・・・)
名前すら消去され果てたイグレテアの視線は
孤独で落ち着かず怯えている。そこに魔女は
更に甘く濃厚なキスで答え、絡め取っていく。
ジュルルッ・チュルルッジュルッジュルッ・チュッ・ちゅぷぷっ・ジュルッ)
(もっと・何で止めちゃうの?欲しい!僕に・魔女さまの・愛・甘い・蜜がもっと欲しい・・・)
「お・お願いだ・僕は・一人は嫌・僕に・もっと下さい。口奉仕・するよ。耐えられない。一人は嫌・だから・魔女・お前の蜜を僕に飲ませて・欲しい・・・」
口を離し、ヨダレの糸を垂らしたまま
試すように長髪の言葉を口にする魔女に向かって
嫌らしい表情で舌を伸ばし、魔の蜜を求め始める
雷の天使イグレテア。瞳の中で光るハートの紋様は
もう手の施しようがない程に濃く、強く光り始めていて、
魔女の欲望を満足させるに値する堕落天使が
またひとり産まれる寸前になった事を悟らせる。
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