「おはようございます、社長。
いえ…残念ながら、耳障りな話ばかり。
現在こちらが入手している情報はすべて、敵の流したダミーデータのようです。
新たに捜査員が2名、消息不明。
ヒノとミナトについては、依然として安否すら、不明。
申し上げにくいのですがサクライ社長…この件からは手を引かれては?」
スリット入りのタイトスカートスーツに、髪をアップに纏め、眼鏡を着用したエリカ。
ピンヒールの音を鳴らしながら、コーヒーをデスクの右側に置く。
心労をいたわるような台詞を吐きつつ、ショウゴの顔を真っ直ぐに見つめる。
ここがこの男にとっての分岐点。
反応を堪能しながら、手元のDVDに視線を移す。
「これは…社長の私物、ですか?
DVDといえば…先程、ソウマが変わった電話を受けたと…」
チアキに報告するよう、視線を移す。
右側に立っているエリカに対し、ショウゴの左側に近寄ってきたチアキ。
チアキはDVDをショウゴの手ごと握り、眺める。
普段ならエリカがやんわりとたしなめるようなチアキの馴れ馴れしい距離感だが、今日はなぜか指摘されることはなく…
「ついさっき、変な電話があったんです。女の人の声で、『DVDは届きましたか?』って。それだけで切れちゃったんですけど。後ろには誰か男の人が叫んでるような声が響いてて…今、音声解析に回してます。ショーゴ社長には、その結果が出てから報告差し上げようと思ってたんですけどぉ…これのことなんですかねぇ?これも解析班に回します?」
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