「ふぅん…エリカをあの女呼ばわりとは、どこまでも頭の悪い男ね。」
ドアの先には、不機嫌な顔で髪を指に巻きつけながら、リュウジを眺めるエリカ。
エリカが入ってくる同時に、捕らえられた直後のシンヤの映像がスクリーンに映し出される。
そしてエリカの手には、シンヤの携帯端末が。
シンヤはこちらの手中にあると、改めて認識させる。
「なかなか元気そうじゃない。
さすが、シンヤ・ミナト以上の実力者。
やられっぷりも、彼以上にお見事だったわねぇ…♪」
ニヤニヤと意地の悪い笑顔。
リュウジの目の前まで近付くと、おもむろにリュウジの膝の上に跨り、首に手を回して、傷付いた肉体を眺める。
ボディスーツから覗く、まだ痛々しい傷口。
一つずつ、ゆっくり指を這わせる。
「ねぇ…“ヒノさん”?
貴方が欲しいのは、これと…あの子犬くんでしょう?
エリカと取引しましょう。
貴方達のクライアントについて、教えてほしいの。
そうすれば…こんなもの、すぐに解いてあげる。」
エリカが前かがみになると、谷間に薬品サンプルのカプセルが挟まっているのが見える。
顔を近付け、吐息がかかるほどの距離で囁く。
試すような視線で見つめながら、傷口をなぞる指に力を込め、爪を立てていく。
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