「お、落ち着いてリッコ!
私だって、リッコの相手が普通の人なら祝福するし応援するわよ。
でも、あの男は駄目!
本当に、プロフェッサーYなのよ。
だいたいこんな短期間で胸や乳首があんなに育つなんて異常でしょ?
普通、乳輪がそんなハート型に変わるなんて起こる筈がないんだし。」
怒るリッコを、なんとか説得しようと躍起になる私。
けれどもはや、リッコには最愛の『ユウ』さんの言葉しか耳に入らない様子でした。
二つ目の指輪が、左乳首にあてがわれて、一層必死に訴えます。
「この間の電話だって、私の名前だけじゃなく『バスティア』だってことも知ってたわ!
リッコも側に居たでしょ?聞いたんでしょ?
リッコ!リッコ!!」
左の乳首もハート型に変わり、まるで感動にうち震えているかのように左右の乳を揺らすリッコ。
そのまま電話は切れてしまい、何度かけ直そうとしても、もうリッコが出ることはありませんでした……
…あれから一週間。
リッコのことが心配で心配で、すべての用事を形だけはこなすものの、心ここにあらずといった様子の私。
突然かかってきた知らない番号からの電話に、リッコからの連絡の可能性が思いついて大急ぎで受信します。
けれど画面に映ったのは、私が苦手とする安藤美和主任!。
思わず露骨に表情をしかめてしまいましたが、相手はさほど表情を変化させません。
ただ一瞬、眼鏡の奥の鋭い目が嫌な光りかたをしたように感じました…が、それが会話に影響することはありませんでした。
「…あ、安藤主任。
お久しぶりです。
え、ええ、私のほうは連絡は構いません。
リッコが?無断で欠勤続き!?」
先週の発言内容から、予測できないことではありませんでした。
けれどやはり、それが事実だと聞かされればショックを受けてしまいます。
そして、彼女への処分決定…悲しそうな表情を浮かべてそれを聞く私。
安藤主任もいたたまれなくなったのか、声をかけてきます。
『大丈夫よ、彼女の記憶を消すっていっても重要機密だけだし、それで人格や基本的な知能に影響が出ることはまずないんだから。
もうPSAに復帰できないとしても、あなたの親友であることは変わらないから。』
「あ、ありがとうございます、主任。
せめて私の知っている情報を…何か役に立つレベルではありませんが…」
『…そう、律子とプロフェッサーYの情報集めを。
…プロフェッサーYと、「麗華」という女、それがあなたのマンションに。
…律子の性格が変わった…ええ、それは私達も感じてた。
最初は恋人でもできて浮かれているようにしか見えなかったから笑って見てたけど、ある時期から一気に仕事の意欲が下がってきたから……
でもありがとう、きっと律子は探し出すから。
長野さんは長野さんで、無茶しちゃ駄目よ?』
私はいくつかの微かな情報を伝え、それを一応聞く主任。
主任は苦手だけど、主任なりに部下を思いやっている…それだけは伝わります。
ただ、私も洗脳の影響をかなり濃く受けており、最重要な部分を言えませんでした。
リッコがプロフェッサーYに騙され結婚するつもりだったこと、そもそもそれも一週間前で、プロフェッサーYがその気なら既に情報を抜かれている可能性があることなど…
そして私自身、絶縁されたも同然とはいえ、今も『格上の』リッコに言われた通り、ランジェリー系の下着を着け続けているのでした、何の違和感も持たずに……
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