「ごめんね、色々探ってはいるんだけど、プロフェッサーYらしい人も『赤山』って人も、なかなか見当たらないのよ。」
『先輩もですか。
こちらも、警戒されてるのか、活動自体が鎮まっているようで、情報がばったり途絶えてしまって…』
「仕方ないわよ。
奴らだって、一度は壊滅してるんだし、慎重にもなるって。
活動してないなら、それはそれで弱体化していくだけなんだろうし、ね?」
『そうですね、そう考えることにします。』
もちろん、私もリッコも、本心からそう考えている訳ではありませんでした。
でも、情報の一つも出て来ないのでは何もできないのも事実。
それでやきもきして時間を浪費するなら、と気持ちの切り替えを図りたかったのだと思います。
「…え?私達のなれ初め?」
『はい。
淋しい後輩に、参考になるかもしれない恋バナを聞かせてくださいよ。』
「…て言ってもねえ。
私と礼司さんとは、いわゆる『店員とお客さま』だから。
礼司さん、うちのジムに短期のフィットネスに来てね…」
『そうですか、この仕事のままだと参考にならないかも、ですね。
でもせっかくだから、その先も聞かせてくださいっ!』
「やっぱりそれが主目的?」
『あ、ばれちゃいました?』
「私でも気付くわよ、そんなの!」
もともと仲の良い相手でしたから、いつの間にか雑談がメインに。
そして、しばらく後…
「え?バー?
いい人と知り合えた?」
「…なんだ、女の人かあ。」
『先輩?人の恋愛を楽しまないでもらえます?』
「今の言葉、先週のリッコに聞かせてあげたいよ。」
『まあまあ、細かいことは気にしないでください。』
「……」
『それでですね、素敵な女の人と知り合って…
「レイ」さんって言うんですけど…』
「ふうん、それはそれでいいんじゃない?
いずれにしても、男女に関わらずに知り合いが増えるのはいいことよ。」
そんな話をしている数日間も、やはり奈緒子さんからお茶菓子をもらい続けていた私。
あの味に物足りなくなってきたのか、一週間に一度程度のペースが、二日に一度に早まっていたのに、気づいてはいたのですが、あまり深刻には考えていませんでした。
「あ、リッコ!
昨日は何かあったの?
心配したんだよ。」
『ごめんなさい、先輩。
昨日はショックなことがあって…』
あの明るいリッコの、珍しく沈んだ声。
電話に出るや否や、きつめに追及した自分に、後悔しました。
そして、『レイ』さんとその友人の『シホ』さんに、体型のことでダメ出しされたと聞いて慌てます。
そんな、どうにもならないことで責める相手なんて、つきあっていると駄目になる!縁切りを勧めようとします。
けれど…
「そんなことないわよ!
小さい胸が好きな男性もいるらしいけど、大きな胸が好きな男性のほうが多いん…だか…ら……」
『せ、先輩?
どうかしました?先輩!』
「……あ、うん、何でもないわ。
でも…そうね、男の人が巨乳だ爆乳だってもてはやすのはせいぜいGカップ止まりよ。
それ以上なら、バケモノ扱いの部類に……」
もしかしたら、『レイ』さん達よりも痛烈だったかもしれない言葉。
ちらつく画面に誘われて口にした自分の言葉に気づきもせず、ブツッと切れた通話に首を傾げながら、またお茶菓子を摘まんで家事を再開します。
そして相談相手を失ってしまったリッコが、すがる相手は……!
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