『それじゃ、いただきます。』
『…これは、かなり苦味が。
でも、飲んだ後に何とも言えない清涼感がありますね。』
『あら、堀田さん。凄い顔してるわよ?
ちょっと苦すぎたかしら…うふふ。』
『うう…いいお茶なのはわかるんですが、お茶を飲み慣れていないと、ちょっと辛いかも。』
「柚月さん、舐めるようにちょっとずつ飲むからですよ。ある程度一気に飲まないと。
でも、これくらい苦いと、お茶菓子も美味しく感じられるんでしょうね。」
お茶を一服し、柚月さんほどでないにしても全員一様に表情をしかめます。
もともとからかうつもりもあったようで、佐々木さんは柚月さんをイジって笑顔を浮かべます。
そして、準備していた淡雪羹のような白いお茶菓子を、まずは柚月さんに。
その後全員に配ります。
真っ先に平らげたのは予想通り柚月さんでしたが、私達もお茶の苦味を和らげるために口にし、そしてまたお茶をいただき、またお茶菓子を…すぐにお茶菓子の小皿は空っぽになりました。
『なんだか独特な味がしますけど、悪くない気がします。』
『きっと、この複雑な味の中の苦味を打ち消すために、苦すぎるお茶と一緒にいただくんですね。』
『そういうこと。
柚月さんも、気に入ってくれたようね。』
『は、はい。
お茶は苦いですけど、それ以上に、癖になる味かもしれません。』
柚月さん達三人と佐々木さんの、病みつきになったようなやり取りに、私と伊藤さんもおかわりを承諾してしまいます。
お茶菓子を差し出す時に近付けた佐々木さんの顔の横のピアスから、三人ほどでないにしても嫌いな味ではないように嗜好を誘導されてしまいます。
「…そうですね、食べ慣れていくうちにハマっていく味かもしれないです。」
『「大人の味」っていうのかしら?
甘いだけのお菓子よりも、いいかも知れないですね。』
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