(家畜奴隷契約書を暗唱する話の続き)
私はとにかく必死に、一言一句間違えずに契約書を暗唱することだけを頭に入れて契約書を読みはじめました。
ご主人様からのご指示の通り、目隠しの下は笑顔です。端から見れば、身分の高い人に媚びへつらう、あまりにだらしなくみっともない表示です。人間をやめるということはこういうことを指すのか、と読みながらところどころ冷静に私のこれからの立場を認識させられました。おそらくこれもご主人様のお考えの範疇だと思います。
なぜなら、私の思考をご主人様は全てお見抜きになられるのですから。
そして、なんと私は一度も間違えずに読み切ることができました。これには我ながらびっくりでした。あの量の内容をわずか10分で覚え、暗唱できるとは私自身思っていなかったからです。
ご主人様の奴隷として、人権を失うことを心の底から望んでいたのだと改めて実感させられた瞬間でもありました。
すると突然、ピッ、と音がしました。
なんとご主人様は私が家畜奴隷契約書をみっともない姿で暗唱している姿を録画なさっていたのです。
暗唱を始めるときには録画されているなんて気づきませんでした。いえ、契約書を暗記し、暗唱することで必死だった私が聞き逃したのかもしれません。
とにかく、私の恥ずかしい宣言はデータとして残されてしまったのです。
でも、私には異議を唱える権利はありません。たった今、家畜奴隷契約書を暗唱し切り、ご主人様の家畜奴隷となることを宣言してしまったのですから。
「たった今から、薫は私の家畜として、奴隷として生きることをなった。もう宣言をしてしまった以上、薫の意志でこれを取り消すことはできない。薫自身が望んでこの身分に堕ちたのだからね」
「はい、、これからよろしくお願いいたします、ご主人様」
自分でも驚くことに、私はご主人様のお足元に三つ指で土下座していたのです。
体が勝手に動いて土下座していた、という表現が正しいかもしれません。私の体は、もう自分自身でコントロールできなくなっていたのです。
(続く)
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