「今回は、お二人ですか?」
と訊くと、
「えぇ、家内はコテージで留守番してます」
と答えた。
「え?奥さんもですか?」
意外な答えに私が驚いていると、男はニヤニヤしながら、
「今夜のオークションにも出品しようと思って」
と語った。
オークションでは、「一夜妻」からペット、奴隷の取引(マッチング)が行われていて、スワッピングの出会いの場所になっていた。
「家内も、毎年楽しみにしていて、昨夜は最後の夜になるかも知れない、と言ったら、泣きながら私のをくわえてくれましたよ」
私のソーセージを刺したフォークを持つ手が止まった。
不意を突かれた。
ここで食べるのを止めたら、相手の思う壺にハマってしまう。
意を決して、私はソーセージを口に運ぶと、
「こんな感じですか?」
と言って、ソーセージをアレに見立てて、口にくわえて舌を絡めて見せた。
男は私の反応に、驚いた表情を見せた。
「チュパチュパ」
と、下品な音を立ててる私を、スケベそうに見つめていた。
そして、
「パキッ」
っと音を立てて、ソーセージを食い千切って見せた。
「あぁ、美味しかった」
と言って、勝利の笑顔を見せてみた。
S同士で腹の探り合いをしていたら、バスローブを着た二人が戻って来た。
「遅かったな、せっかく姫様が、ご用意してくれた料理が、冷めてしまったぞ」
と男は女を叱りつけた。
「申し訳ございません、ご主人様」
と、二人が男に頭を下げた。
「アナタは、私の下僕でしょ?」
「何で一緒に頭を下げてるの?」
と言ったら、
「すみません、姫様」
と言って、今度は二人が私に頭を下げた。
私は男と顔を見合せ、堪えきれずに笑った。
「微笑むお顔をステキですよ」
と男は言ったが、マジ笑いしていた私には、お世辞も笑いのツボに入った。
「温め直しますか」
と言ったら、
「いいえ、このままで結構です」
と言って、男は皿を床に置いた。
「さぁ、いただきなさい」
と言うと、彼女はテーブルの脇で膝をつき、私を上目使いで見つめて
「いただきます」
と言って、手を使わずに四つん這いで食べ始めていた。
私も♀の食事を見るのは久しぶりで、ちょっと面白かったから、マネをして床に皿を置いて
「アナタも一緒に、おあがりなさい」
と言った。
下僕も四つん這いになって、女の食べ方を見習いながら食べていた。
男と私は二人で上から眺めていた。
「美味いか?」
と男が訊ねると
「はい、美味しいです」
と答えた。
すると、男は自分の食べ残しを、彼女の皿に落として、
「私の分も食べなさい」
と言った。
残念ながら、完食していた私は、下僕に与えてあげられるモノが無くて、私の皿を舐めさせていた。
「カレもお腹が足りないだろうから、ウチのと一緒に食べなさい」
と言って手招きした。
二人で向き合い、ひとつの皿を分け合う様子に、私は見とれていた。
完食した後、私は下僕の口の周りに付いたソースを舐めてあげると、男も彼女の事を舐めてあげていた。
「ごちそうさまでした」
「家内が待ちくたびれているかも知れないので、この辺でおいとまさせていただきます」
と言って二人は出ていった。
さすがに緊張した朝食になった。
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