私は興奮していた。
「店長、お店の方はまだですか?」
と、店の裏口から声をかけた。
「すいません」
と言って、手提げ金庫を持った店長が出てきた。
「今日は、お世話になってる店長さんに、素敵なモノを見せてあげたい、ってエミちゃんが言うから、私も手伝って待ってたんですよ」
と言った。
「えぇ、なんだろう?」
と嬉しそうな顔をした店長を、倉庫に誘うと、私は倉庫の鍵を内側からかけた。
店長は、床に倒れているエミの姿を見て、
「大丈夫か?」
と駆け寄ろうとした。
「待って!」
と私が大きな声で呼び止めると、彼は振り向いて私を見た。
「大丈夫よ。今は少し興奮してたから寝てるだけ」
「でも、あなたがいきなり近くに行ったら、彼女もビックリするから、少し離れて見てあげて」
と言うと、彼は少し疑いの表情を見せながら、
「大丈夫なんですね?」
と聞いてきた。
「彼女がカレシと別れたのはご存じですよね?」
「はい、お相手はお店の常連でしたから」
「色々とお客さんの間で噂になってましたから、」「らしいですね」
と店長の話に私は、知ったかぶりをした。
私は、自作した話を、彼の話と結びつけて、
「きっと、彼女は店長さんに、メチャクチャにされてしまいたかったのかもしれませんね」
と真面目な顔で言った。
私の中に降臨した《魔女》が、私自身も魔法で狂わせていた。
イモ虫のように身体をくねらせてる彼女のもとへ、慎重に近づくと、彼女は涙目で
「うぅ、うぅ、」
と店長に何かを訴えているようだった。
「これはいったい」
「きっと、恥ずかしいんですよ」
と、彼の疑問に私が答えた。
「でも、エミちゃんの縄化粧は、キレイでしょ?」
と言うと、雰囲気に圧倒されたのか、ゴクリとツバを飲み込んで、彼は無言になった。
「良ければ、店長さんも縛って差し上げましょうか?」
と聞いても、彼は彼女の姿に夢中で、返事をしないので、私は勝手に2本目のロープを取り出して、店長を捕縛した。
少し抵抗されたけど、手早く縛り上げたので、ガッチリ決まった。
「どうして僕まで?」
と言うから、
「だって、エミちゃんだって恥ずかしいじゃないですか」
「アナタも彼女の素敵な姿に興奮したんだから、彼女にもアナタが縛られてる姿を見せてあげて下さいよ」
と言うと、彼は彼女の顔を見つめた。
当然、これは作り話で全部私のデッチアゲ。
でも、騙された二人の状況だけが真実。
「調教」と言う名の魔法をかけるのは、これから(笑)
つづく
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