リアルの私は、迷子と戦っていた(笑)
行って早々、一人でボーゼンとしている男の子を発見した。
小さなお顔に、大きなマスク。
「お母さんは?」
って訊いたら、彼は黙ったまま首を横に振った。
いつもなら、抱上げて一緒に探すのだけど、今年の売り場は、お客様も売り子達も、全員がマスクをしていて、お母さんが誰か分からない。
「お名前は?」
と訊いても、男の子は黙ったまま。
(こんな小さい子が、知らない私に個人情報を保護?)
仕方なく、
「お母さん、いませんか?」
と大声で呼び掛けながら、売り場を歩き回った。
「○○ちゃん?」
行列に並んで、子供を抱いた女性が、私達に声をかけてきた。
私が抱いていた男の子も、マスクの女性が、お母さんと分かったらしく、すぐに手を伸ばした。
「すいません」
と、マスクの女性は恐縮していた。
騒然としている店内で私は、
「お子様をお連れのお客様、お子様と手をつないで下さい!」
と、大声で呼び掛けながら店内を歩いた。
「りなさん?」
マスクをした女性が、私に声をかけてきた。
売り子の名札で、メーカーの販売支援をしている営業の子だと分かった。
彼女に事情を話すと、すぐに売場にいた催事担当者に話をした。
しばらくして、店内で放送が流れ、
「お子様をお連れのお客様は、」
と、私の呼び掛け通りのアナウンスが流れた。
デパート全館に、私の言葉が流される。
ささやかながら、優越感を感じた。
子供の手を、しっかり握るお母さん達を見かける度、子供がマスクの下で嬉しそうにしているのが分かった。
中には騒がしい親子もいるけど、バレンタイン独特の光景に、癒された(笑)
※元投稿はこちら >>