「どうしたの?」
と訊ねると、
「お父さんが、凄く怒ってる」
と言われた。
サトコ(仮名)によると、私が呼んだM男くんを、勝手に家に入れた事に腹を立てているらしい。
(どうしよう、)
サトコの様子から、大変な事をしたと思った。
仕事関係の人が帰った後、サトコの部屋に旦那が現れた。
「りなさん、貴女は困った事をしてくれましたね?」
紳士的に振る舞いながらも、厳しい視線から、怒っている事が伝わってきた。
私が黙っていると、
「家内も、軽卒だったと思いますが、私の家に、貴女が勝手に他人を入れて良いと言う事には、ならないんですよ」
サークルのルール(掟)でも、厳格にプライバシー保護が規定されているので、私の行為はルールに逸脱していた。
「ごめんなさい。無断で彼を呼んだのは、軽卒でした」
私とM男くんは、床に膝まづき土下座した。
身体が震えた。
着物で圧迫されていたせいもあるが、重圧に吐き気さえ覚えた。
「そうやって謝って頂ければ、今回の事は不問に伏しますが、二度と私の家では、勝手な事はしないで下さい」
と叱られた。
私とM男くんは、謝罪文と秘密保持の誓約書を書かされた。
(恐い)
恐らく、人生最大のピンチかも?と、思った。
「お二人の件は、これで良いとして、問題は妻の方だな」
と、旦那はサトコを見た。
「はい」
と答えたサトコは、撮影していたカメラを養父に手渡すと、テレビに接続して再生した。
テレビの前で奥さんは、汚れたままの着物を着て正座していた。
画面には、彼女が男の子達と淫らに楽しむ様子が流れていた。
凄く気まずい。
「これは、どういう事だ?」
旦那は足蹴にしながら、妻に問いかけると、
「新成人の皆さんが、サトコを見て発情したそうなので、成人式のお祝いを兼ねて、私がご奉仕させて頂きました」
と妻は、悪びれる様子もなく答えた。
「これがお祝いか?」
「どう見ても、オマエが楽しんでいるようにしか見えないぞ?」
と妻を強く蹴り始めた。
「りなさんは、どう思う?」
と、旦那に訊かれたが、どう答えて良いのか、言葉が出なくて黙っていた。
「サトコは、どうなんだ?」
と問いかけると、彼女は躊躇う事も無く、
「お父様の仰る通りだと思います」
「お母様は淫乱なメスブタだから、見境なく若いオスに発情したのでしょう」
と言い放った。
それを聞いた養母が娘に掴みかかろうとした時、旦那はその手を掴み、旦那は嫁に跨がると、暴れる彼女の手首を、帯ひもで縛り上げた。
「お二人も手伝って下さい」
呆気にとられていた私達に、旦那が声をかけた。
3人がかりで奥さんを押さえ付けていると、サトコがロープを持ってきて、養父に手渡した。
旦那は手際よく捕縛を施すと、天井に通された梁に縄をかけて、妻を吊り上げ始めた。
「イヤ、あなた、こんなのヒドイ」
「やめて、やめて、」
と、泣き喚きだした。
その光景を見せられた私は、恐怖と期待、不安と興奮が複雑に入り交じった感情が生まれていた。
「痛い、痛い、」
と泣き喚く妻の言葉を愉しむように、不敵な笑みを浮かべる旦那を見ていたら、私も自分が笑顔でいる事に気づいた。
その場に吊るされている生け贄以外の誰もが、彼女の姿に欲情していた。
つづく
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