食後の歯磨きと洗顔を済ませて、私は寝室に、彼女は子供を寝かし付けに行った。
色々とあって、眠ろうとしたら、キッチンで物音がした。
彼女は缶酎ハイを片手に、料理を作っていた。
私は、彼女の手にした缶を奪うと、シンクに捨てた。
「旦那が大変な時に、呑気に飲んでる場合じゃないでしょ?」
「アンタも、嫁の自覚があるなら、願掛けにお酒をヤメるべきでしょ?」
と、強く言った。
私も気が立っていた。
生理のせいではなく、彼が心配で、酔いに逃げようとする彼の妻に怒りを覚えていた。
(彼女を叩いてやりたい)
と思ったが、我慢した。
私は怒りを込めて、彼女を睨み付けた。
「まだ、一口しか、」
と言い訳をしようとした彼女は、言葉を飲み込むと、涙で瞳を潤ませていた。
「だって、だって、」
彼女は私の着ていたバスローブの胸ぐらを掴んで、何かを言おうとしていたが、言葉にならなかった。
病院では気丈に振る舞っていたものの、二人きりになった途端、弱い部分を見せてきた。
「彼の事、大好きなんでしょ?」
と訊いた。
彼女は黙って首を縦に振った。
私は彼女を寝室に連れて行き、部屋の灯りを消した。
暗がりの中で、彼女の啜り泣く声が続いた。
しばらくして泣き止んだ彼女が私に、
「色々と、ご迷惑をおかけして、すいません」
と話しかけて来たので、
「人に泣かれるのは、慣れてるから平気よ」
と答えた。
「そうですよね?りなさんって、Sですもんね」
と返してきた。
「その通り」
自分で言って笑えた。
彼女も笑った。
彼女は、自分の近況から過去の身の上話を始めた。
私は相槌を打ちながら、彼女の話を聞いていた。
夫婦生活、主従関係、過去の恋愛に、複雑な家庭環境まで、何でも話した。
私の話をする余地は無かった。
いかにもM女らしいと思った。
話終えて、スッキリした彼女は、私に
「今夜も抱いて下さい」
と言ってきた。
私は生理中。
「シーツや布団が汚れるよ?」
と遠回しに断ろうとしたら、
「私、昨夜オナニーしたんです」
と言ってきた。
昨夜も飲んで寝ようとした彼女は、眠れずにオナニーをしたらしい。
前の晩に、私に抱かれたのが、忘れられなかった、と言われた。
彼女の手が、私の下腹に伸びてきた。
このまま寝たら、彼女に何をされるか分からない。
「じゃあ今日は、私を旦那だと思って、抱いてみて?」
と言った。
彼女は私を早く、その気にさせようと、性器や乳首を責めてきた。
私は彼女を止めた。
「違う。男の抱き方じゃない」
と私は言った。
彼女は戸惑っていた。
「どうしたら、」
と言うので、攻守を逆転して、私が彼女の上になり、調教を始めた。
普段なら、男に女の悦ばせ方を教えている私が、彼女を男に見立て、テクニックを伝授した。
つづく
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