色んな修羅場を経験した彼女も、今回の入院はショックだったらしい。
子供が授乳期を終えると、夫婦はSMから足を洗って、普通の夫婦になった。
性生活にはSM要素が入っていたが、日常的にはパパママと呼び合い、二人とも幸せだったという。
しかし、父親が認知症になり、母親が彼女の腹違いの兄と不倫した事などがあって、夫婦の関係にも影響が出た。
夫婦喧嘩が絶えず、そんな二人がSMをするなど出来なかった。
ノーマルな夜の営みはマンネリ化し、ときめかなくなったエッチに、夫婦の溝を埋める術は無かった。
子供の小学校入学のタイミングで夫婦は別居。
夫の短気で用意した離婚届で、夫婦は別れてしまった。
M女だった彼女は、主人だった夫に、別れてからも様々な要求をしていた。
イクメンなんて綺麗事も、彼は努めていたらしいが、元妻は自分を省みない元夫に苛立ちを感じていた。
そんな時に彼の病気が発覚した。
彼女は取り乱して、精神的に不安定になって、子供にも虐待をするようになった。
その頃に夫が相談した相手が、サークル仲間のS男だった。
彼も色々とアドバイスしたらしいが、元妻の暴走が止まらず、私が紹介された。
彼は元妻の暴走を止める為に、短絡的にM男になろうとしていたが、彼女は狂暴化してもM女。
ちゃんと手懐けてしまえば、元通りになるはずなので、私が女性の悦ばせ方を教えていた。
品の良いパートナーは、暴走した妻を調教(じゃじゃ馬ならし)できる。
しかし、彼の病魔は、私の計画を壊した。
結果的に今の所は、元夫の事が心配で、元妻も落ち着いていたが、命に関わる手術や治療に、彼女の心は壊れかけていた。
昨夜の晩酌は、彼女が妊娠してから、初めて飲むビールで、子育て中は一切口にしなかったせいで、すぐに酔っ払った。
今日も彼女は、子供を寝かし付けてから、酔っ払って私に電話してきた。
「助けて、」
と泣いてる彼女を、私は気休めの言葉で慰めるしかなかった。
今週、彼は手術の前に、アソコの毛を剃られて、全身麻酔の直前には看護婦さんに浣腸され、術後は、尿道に挿管される。
彼にとっては、初めてばかりの経験。
「旦那が癖になったら大変だね?」
って冗談を言ったら、電話口で吹き出す彼女の声が聞こえた。
術後は、しばらく接触も制限されるから、彼女は毎日、彼に会いに行く。
芯の強さは母親だからか、過酷な調教を経験してきたM女だからか、定かではないが、少し元気になったみたいで安心した。
笑えたら大丈夫。
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