もう一日、休みを取って彼女に付き添うかと思ったが、その役目は彼女の母親に譲った。
互いに、過去に傷を持つ母娘なら、私より適任だろう。
麻酔から醒めた彼は、彼女を見てから、再び眠ってしまったらしい。
今夜は帰ってきた嫁に抱かれている夢を見るのだろう。
本当の治療は、これから。
薬の副作用や治療は、かなり苦しいらしい。
彼の苦しみに寄り添うのは、嫁の務めであり、それを支えるのは、子供や母親の役割。
彼には親も仕事の仲間もいるし、癒しになる存在がある。
退院したら、会いに行くかも知れないが、しばらくは静観するつもり。
今夜は寒くなるけど、すぐに春が来る。
まだ予断を許さない状況らしいけど、私に出来る事だけは果たした。
だから今は清々しい。
明日会社に持って行くレポートも仕上がり、私は眠る。
おしまい。
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