「数と、量と、性急さがサディズムに固有の狂気である」と書いたのはフランスの思想家ジル・ドゥルーズですが、このまなさんの文章には彼が言うサディストによる「機械的、唯物論に立脚した累積と加速による数量的な方法」があますところなく表現されていて見事です。
実際この文章の冒頭には「五連休」「五日間」「一秒」「一歩」「二人」といった数字がやつぎばやに登場していて、テクスト上にあきらかな数的世界がはりめぐらされている。全編において冒頭にあげた引用でいう「数」が重要なファクターになっている。それはまた量をも示す(50発以上の鞭や五日分のすべての尿)。さらには「一秒以内の返事」という性急さも描かれている。
靴かソファーか、というくだりはまさに「唯物論的」でもある。さらには糞尿もまた一種の唯物論的な機能をはたしている。服従や従属などという観念論的な次元ではなく尿や糞といった物体こそが観念などという曖昧なものを突破するのだ、という確信がある種の爽快ささえ生んでいる。
またドゥルーズは「サドの思想は制度という語句によって表現される」と書いているが、まさにそのとおりに、ここではブタの暮らしがいかなる制度によって管理されているかが詳細に述べられている。サディズムはマゾヒムの裏返しではなくて、まったく異なる嗜好だということがよくわかります。
以上、参考文献『マゾッホとサド』ジル・ドゥルーズ 晶文社でした・笑
GW後半編もはやく読みたいです^^
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