悪夢の夜から明けた翌日。
私は一年生より早く練習場へ行き、自主トレに励み、準備をするなどしていた。
先輩から次期キャプテンと指名されて、モチベーションも高くなっていた。
ところが、経験者のユキやミナほど上手く出来ずに、悔しい思いが募って行った。
合宿の最終日、顧問から発表されたレギュラーに、私の名前は無かった。
リザーブにも入れず、落ち込んでいた私に追い討ちをかけたのは、顧問がユキを新キャプテンに指名した事。
そして、私が合宿で頑張っていた事を話した上で、全員にゲキを飛ばした事が、行き場の無い怒りに火をつけた。
「りな、残念だったね」
ユキとミナの慰めも、私の神経を逆撫でした。
大会期間中、私は観客席から、誰よりも大きな声でゲキを飛ばしていたが、内心では(負ければ良い)と思っていた。
顧問の選んだチームは、善戦したものの、地方代表の進出手前で惜敗した。
選手も応援していた仲間たちも落胆していたが、その様子を見ていた私は、内心で喜んでいた。
主力の二年生が、プレッシャーに潰されたのが敗因。
最後は経験者の一年生に引っ張られるぐらい、チームはガタガタになっていた。
キャプテンのユキが、冷静さを失い、ミナも雰囲気に呑まれ、一年生の活躍がなければ惨敗していただろう。
コートで泣き崩れる仲間と、茫然自失の顧問の様子を、高い位置から見下ろしながら、私は一人で悦に入っていた。
大会も終わり、三年生の引退も近づく頃には、私とユキの関係も、すっかり険悪になって行った。
意見の対立から、掴み合いのケンカまでするようになり、女同士の派閥も、部内に生まれた。
ユキの側についた二年生や後輩に冷たくしたり、練習試合でもダメ出しをしていた。
私は何度も顧問に呼び出されて叱られたが、態度を改める事は無かった。
顧問に気に入られていた雑用係の男子にも、私の怒りの矛先は向いていた。
私の側についた一年生に、私は男子が盗撮していた事件の話や、ユキが告っていた事など、部内で内緒にしていた秘密を、すべて暴露していた。
三年生が引退して、OGが顔を出すようになった冬季合宿で、私はレギュラーの一年生を呼び出して、洗濯室に連れて行った。
彼女達は、男子の裸を見た事も無かったらしく、普段の生意気な態度が一変した。
つづく
※元投稿はこちら >>