「随分と余裕ね?」
男子のストリップを黙って観ていた私に、先輩が声を掛けた。
「度胸があるのか、慣れてるのか?」
先輩は私に何か言わせようとしていた。
事実、私は弟の裸を見馴れていたし、覗き魔の男子を軽蔑していた。
ただ、ぶら下がっているだけのペニスを見ても、何の動揺も無かった。
しかも、萎縮した男子のモノに、哀れみさえ感じていた。
動揺している二人に遅れをとって、恥ずかしがるタイミングも逸していた。
先輩の問いに詰まっていると、
「ユキ(仮名)ちゃんは、彼に告白したんでしょ?」
と、先輩から意外な発言。
「え?」
私とミナ(仮名)は、驚いて彼女を見た。
「違う、違う、」
必死に否定するユキの反応に、私も戸惑っていた。
レギュラーで、後輩にも慕われていて、美人だけど男嫌いだと思っていたユキが?
私達が困惑していると、先輩は男子を呼び寄せて、男子の首に首輪を装着した。
「この子って、何でも私達に報告するのよね」
と、先輩達は私達を嘲笑っていた。
「いや、言わないで、お願い言わないで!」
赤面しながら泣き崩れるユキに、私達も掛ける言葉も見つからなかった。
後で訊いた話によると、先輩達にイジメられてる男子に同情しているうちに、好意を抱いてしまったと言う。
そんな事情も知らなかった私達は、ただ戸惑うばかりだった。
ユキの見ている前で、男子は先輩の足元で、犬のように四つん這いになっていた。
「やめて、お願い、やめて、」
その言葉は、男子に向けられているのか、先輩達に向けられているのか、私達には解らなかったが、先輩を邪魔すれば、ユキにも火の粉が降り掛かると思い、私とミナは、ユキを押さえつけていた。
先輩は男子を足で小突き、弄びながら男子に語りかけていた。
「どう?フラれた女と、フッた女、ヤりたい女の前で裸になる気分は?」
「?」
フッたのは私で、フラれたのはユキ。
そしてヤりたい女はミナ?
先輩達が私達を呼んだ理由が、何となく読めた。
私の反応は意外だったはずだけど、泣き崩れるユキと怯えるミナの反応は、想定内だろう。
嫌がるミナを連れて行こうとする三年生に、私とユキが抵抗していると、OGの先輩が業を煮やして、
「つまんない」
「ミナを守りたければ、どっちか裸になりなさい」
「どっちがミナの身代りになる?」
「それとも三人で餌食になりたい?」
呑めない要求を突きつけられて、私達は困惑していた。
つづく
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