彼女が彼に、何かを言おうとする度、彼は彼女の口を塞いで、話をさせない。
濃厚なキスをした後で、二本目のロープが、コブを作りながら縦に通り、彼女の股間を擦る。
「ひゃぁ、ひぃ」
子供の声にも似た喘ぎをする彼女の、意外な一面。
黙々と縛り上げて行く彼の顔に、少し緊張感がとれる。
順調に急所を外した縄捌きに、私が修正を加えて行く。
シンメトリーに亀甲が決まり、彼女の身体は、弛みの無い物に再生された。
せっかくなので、記念撮影をする。
床に膝をつく彼女の束ねた髪を掴んだ彼が、得意気に持ち上げる。
座った時に、彼女の肉が圧迫したらしく、私は彼に指示を出して、一旦ロープをほどいた。
縄を解かれた彼女の身体には、キレイに縄目の跡が走っていた。
「ごめんなさい、ごめんなさい」
と謝り続ける彼女は、初縄に興奮していたらしい。
外の風も止んで来たので、彼女に首輪をつけて、庭へ連れ出す。
生け垣の高さから、立ち上がれば、彼女の上半身が丸見えになるので、犬のように四つん這いで歩かせて、庭に散らばっている木の枝を、一本一本、口に加えさせて片付けさせた。
真下に垂れ下がる乳房は揺れ、丸出しの股間が、無防備に晒されている。
彼は、その様子を嬉しそうにビデオで撮影していた。
私は彼女の作りかけてた料理を仕上げて、お皿に盛り付けて、彼女の前に差し出した。
「手は使うなよ」
彼が釘をさすと、彼女は外にお尻を向けて、口の周りを汚しながら食べ始めた。
「どうだ?」
「美味いか?」
と訊ねると彼に、彼女は、
「はい」
と答えた。
すると彼は彼女の髪を掴んで、
「オマエは犬だ」
「犬の返事は、ワン、だろ?」
と言うと、彼女は驚いて、
「ごめんなさい、ごめんなさい」
と謝り始めた。
こういうプレイは、私の好みではないので、黙って家の中に入ると、荷物をまとめて帰り支度を始めた。
外では、相変わらずワンワンと鳴く彼女と、彼の怒声が聞こえていた。
「私、もう帰るけど、どうする?」
と訊いた。
彼の表情が一気に青ざめた。
「すいません」
「つい夢中になってしまって」
「もう、帰るんですか?」
と、態度を豹変させた。
いつものM男くんに戻っていた。
そんな彼を見て寂しそうな顔をする彼女と目が合って、気持ちが揺らいだ。
つづく
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