激しく二人の身体を打ち付ける雨と熱風で息をするのも苦しくなって、私も理性を失いかけた時、一瞬目の前が昼間のように明るくなった後、バリバリと空気をも震えさせるような音が鳴り響いた。
心臓がバクバク脈打ち、このままイッてしまいたい衝動が高まった。
彼をボンネットの方に導こうとしたら、彼は私の手を振りほどいて、一人で後部座席に入ってしまった。
全裸のまま車外に取り残され、しばらく茫然として、車内に戻った。
気持ちが昂っている時に、男に逃げられた訳だから、私の中に怒りが込み上げて来た。
後部座席にいた彼を睨み付けたら、彼は小さく丸くなって泣いていた。
私は不機嫌な言い方で、
「どうしたの?」
と先生キャラも忘れて訊いた。
すると彼は震える声で、
「カミナリが、カミナリが、」
と呟いていた。
最初は何の事か分からなかったけど、少し頭を使って考えたら、カミナリが恐いんだと分かった。
子供の頃、カミナリが光ると、弟が私にしがみついて来たり、音が恐くて私の布団に潜り込んで来た事を思い出した。
私の昂りも収まり、タオルで濡れた髪や身体を拭いても、彼は全裸のまま。
「雷様におへそを取られるよ」
と言っても、冗談も通じない。
「クルマの中は安全だから、」
と言ってなだめ、私はクルマを出した。
彼は、かなり重症のカミナリ恐怖症らしい。
周囲が木々に覆われた場所でクルマを停めて、彼に服を着るように促した。
さすがに街中を、全裸の男を乗せて走ったら、私が逮捕される(笑)
彼が着替えたのを確認してから、麓の町まで降りてホテルを探した。
お盆休みで殆ど空室も無いと思ったけど、意外と空いていて、駐車場にクルマを停めて、私が部屋を選んで受付を済ませると、二人とも両手に荷物を抱えて部屋に入った。
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