「○崎さん、俺とつき合ってくれへん?」
少し話があると言ってきた翔が切り出した言葉に私は驚きました。
「え?冗談…よね!?」
私は笑ってごまかそうとしましたが、翔の顔は真剣です。
「冗談じゃない。マジで。俺、○崎さんのこと本気で好きやねん」
私は突然のことに戸惑いながらも翔に答えました。
「私、結婚してるし、かなり年上だし…」
翔がふざけて言ってないことはわかりましたが、とにかく、断ろうとする私の言葉を翔は途中で遮りました。
「今、返事せんといて。今日は俺の気持ち伝えたかっただけやから。俺の気持ちだけ知っててほしいねん」
夫にプロポーズされて以来の男性からの告白でした。
次の日からスーパーに行って翔と顔を合わせるのが気まずいと思っていましたが、翔は変わりませんでした。
それどころか、翔はそれからも私に声を掛けては、飲みや食事に行こうと誘ってきました。
そのたびに私は断るのですが、悪い気はしませんでした。
恋愛なんて自分にはもう縁のないものと思っていました。
可愛い若い男の子に好きだと言われて、悪い気はしませんでしたし、私の心がときめかないはずもありませんでした。
そんなある日、メールでスーパーの帰りに呼び出された私に、翔は思いつめた顔で言いました。
「今度の日曜日、俺の誕生日やねん。でも、旦那さんが休みの日には絶対無理やと思うから、その前の金曜日、○崎さんも休みやし、俺も休みやから、誕生日祝いやと思ってランチだけでもつき合ってくれへん?」
私にはもう断る理由はありませんでした。
ここまで自分みたいな30代の主婦に好意を持ってくれることが嬉しかったし、翔のひたむきさに心を打たれたからです。
平日の昼間に男性と会うことにためらいはありましたが…。
翔は金曜日のお昼前に待ち合わせ場所に車で現れました。
私の最寄り駅からは離れた場所です。
それから、私は翔とイタリアンのランチに行きました。
翔と会話をしてる間、私は自分の立場や年齢のことをすっかり忘れました。
ランチの後、翔につき合って家具を見に行きました。
家具を見てる間は本当に恋人気分になれた気がしました。
家具店から待ち合わせた場所に送ってもらう頃、時刻は午後3時半を回っていたと思います。
私の中で別れを惜しむような気持ちがありました。
車から降りようとした時、ふと翔と目が合った私は…どちらからともなく唇を重ねていました…。
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