「兄貴?俺‥」
「祐一か?,久しぶりだな。元気か?」
「うん。」
「どうだ?そっちは?」
「うん。まだ寒いよ。」
「そうか。たまには帰って来いよ。母さん,喜ぶから‥」
「その‥今週,帰ろうかと思って。」
「本当か?今,母さんに代わるから‥」
「あの兄貴‥」
「ん?」
「いや‥何でもない。」
「何かあったのか?」
「ちょっと‥。ごめん,母さんに週末,帰りたいって,言っといて。」
「わかった。祐一‥」
「何?」
「何かあったら言ってくれよ。」
「ありがとう。義姉さんにもよろしく言って。」
「わかった。」
年の離れた兄貴は,僕にとっては兄と言うより父親の様な存在でした。
「祐一,やっぱり‥」
「大丈夫。優子は何も心配しないで。」
「だって‥」
最後に帰ったのはいつだったんだろう‥困って相談事がある時ばかり‥
帰省した日,駅まで迎えに来てくれた兄貴が優子を見て
「なんだ祐一そう言う事かよ。心配したぞ。」
喜んでくれる兄貴に後ろめたさを感じました。
「田舎でびっくりしたでしょう?遠いところを‥。やっぱり東京の人は綺麗だな‥祐一。」
「うん。ありがと。」
「母さんびっくりするぞ。」
「そうだね。あのね‥」
「ん?」
「その‥帰る前にちょっとだけどっか寄ってくれないかな。」
「何で?母さん,待ってるぞ。」
「うん。わかってるんだけど‥」
察してくれたのか
「ここで良いか?」
子供の頃,よく遊んだ河原の脇に車を止めてくれました。
優子と三人‥河原の土手に腰掛けて。
「どうした?何でも話せ。」
「うん‥その‥兄貴,必ずちゃんと返すから,お金貸してくれないかな。」
「結納とかか?」
「う‥ん‥」
優子の事を話しました。
「優子さんは,祐一の事を,その‥」
「はい‥」
「こいつは弟だから言う訳じゃないけど素直で優しくて‥とっても良い奴なんですよ。」
「はい。」
「そんな,祐一を一生,裏切らないって約束してもらえますか?自信ありますか?失礼な事言ってるのは百も承知です。」
「兄貴‥」
「お前は黙ってろ。どうなんですか?」
「私は祐一が好きです。お兄さんが仰る以上に。私はこんな女ですが,祐一の中身が好きで一生,一緒にいたいと考えています。」
「良かったな祐一‥良い人見つけて。」
「うん‥」
兄の優しさが大きさが‥泣いてしまいました。
「金の事は母さんに言うな。俺がなんとかするから。」
「ありがとう兄さん‥」
「すみません‥」
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