「ラーメンが良いです。」
「え~ラーメン?ラーメンなんていつでも食べれるでしょ。遠慮しないで良いから。」
「違うんです。なんか美優さまと,ラーメンが食べたくなって‥」
「私は構わないけど。じゃ,評判の…のラーメン屋さん行ってみようか?」
「はい‥」
駅の反対側の雑誌でも取り上げられるラーメン屋へと行く事になりました。
ガードをくぐる薄暗い道‥美優さまと歩いていると,時間が止まってくれたら‥と思ったのでした。
「並んでるね~待てる?」
「僕は大丈夫ですけど,美優さまは?」
先に並んでいたカップルが僕が(美優さま)と言った時に,振り向いたのです。
気付いた美優さまも耳元に顔を寄せて
「人混みでは,(美優)で良いよ。」
「はい。美優さ‥」
言いかけたのを,美優さまが,声を殺して笑ったのでした。
なんて可愛い人なんだろう‥
守ってあげたい‥生まれて初めてそんな感情にとらわれたのでした。
ラーメンを食べている間も
「美味しいね~」
としきりに感心して,店の主人もこちらを見て喜んでいました。
でも半分ほどしか,食べず,僕の事を横から見ています。
「あまり,お腹減ってなかったんですか?」
「ううん‥太りやすいから,気をつけてるの。美味しそうに食べるね。見てて気持ち良い‥。悪いから,まだ食べれたら私のも。」
美優さまの残りも遠慮なく食べ始めると
「私も少し‥」
と一つのどんぶりを二人で笑いながら食べたのでした。
「どうする?」
帰る‥って言われるのが恐くて,
「一緒にいたいです。」
としか答えられませんでした。
「違くて,どこ行く?って意味。」
「はい‥」
思い付かなくて‥ただそばにいられたら‥それだけでした。
「誰かに会うと,困るし‥とりあえず行こうか。」
行き先を思い付かず,切符を買いホームに並んでいました。
「私の部屋行く?」
「でも‥良いんですか?」
「ただエッチはナシ。守れる?」
「はい。もちろん。」
二駅,電車に乗り,美優さまに案内されて歩きます。
「散らかってるからね。」
三階建ての綺麗なアパート‥美優さまの部屋に上がります。必要な物以外,何もないあまりにも,殺風景な部屋でした。
「座ってて,コーヒーで良い?」
「はい‥お構いなく‥」
テーブルの椅子に腰掛け,テーブルの上の郵便物を見て,
〇〇優子
と書いてあるのを,見てしまいました。「バレちゃったか‥はい。」
差し出されたコーヒーに口を付け,美優さまを見ました。
※元投稿はこちら >>