その日のプレイは,美優さまも僕も,どこか熱の入らないものを時間を潰す様に行い,店を出たのでした。
まだ,夕方と呼べる時間‥深夜まで一度帰ろうかと駅へ向かったのですが,途中の公園に寄り,ベンチに腰掛けました。美優さまの,怒った顔,淫靡な顔,笑った顔‥全てが魅力的なのでした。
こうしている時間も,他の客の相手をしているのかと考えても嫉妬心とか複雑な気持ちにはなりませんでした。
それよりも,美優さまのそばにいたい‥ただそれだけでした。
コンビニで弁当を買ってきて,ベンチで食べて‥
色んな事を考えていると瞬く間に時間は過ぎたのでした。
時計を見ると,八時を過ぎた頃でした。もう,ここで時間を潰して待とう‥
そう決めた時,携帯が鳴ったのでした。
「私。わかる?」
「はい。もちろん。」
「何してるの?」
「いえ,特別‥」
「家?」
「違います。」
「どこ?」
「その‥お店の近くです。」
「え~!だってまだ八時半だよ。」
「はい。」
「そう‥また電話する。」
「わかりました。」
二回目の電話があったのは,30分と経たない九時を少し過ぎた頃でした。
「今,どこにいるの?」
「公園です。」
「駅の近くの?」
「はい。」
「わかった。」
電話が切られると,5分ほどして,美優さまが公園に来てくれました。
黒いジャケットにデニムのピッタリとしたパンツ姿で,店での化粧を落とした姿にどこから見ても,普通のOLの様にしか見えず,親近感を感じてしまいました。
「寒かったでしょ?お腹減ってる?」
待っていた事を,店を早上がりさせてしまった事を怒られると思っていたので拍子抜けした気分でした。
「いえ,大丈夫です。すみません‥」
「なんで謝るの?」
「美優さまに早上がりさせてしまって‥」
「良いのよ。それよりなんか美味しい物食べに行こうよ。何,食べたい?」
「なんでも‥」
「なんでも‥はダメよ。何が良い?温かいのが良いわね‥歩きながら考えようか‥」
自然に美優さまが,腕を組んできたのでした。
年上のはずの,美優さまが化粧を落としたせいか,幼く見えて‥
「何が好き?焼き肉とか?今日は私が奢ってあげるから。」
「いえ,とんでもない‥僕が出します。」
「良いのよ。フリーターなんて,いくらも稼いでないんでしょ。ただでさえ,無理して高いお店に通ってくれたんだからそのお礼。」
こうして会ってくれてるのも,ただのお礼の気持ちなのかと‥少し寂しく感じたのでした。
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