「じゃあ・・行ってきます…」
ひんやりとした金属製のドアノブを回した。
・・ッ・・チャ・ン…
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風が吹く…
適度に強い風… 快晴と眩しい日差し… さえずる鳥の声… 静かな朝…
私はこんな日がとても好きだ。
憂鬱な気持ちを瞬間的に癒してくれるから。
高校へ入学して1か月が過ぎた。
新しい制服に身を包み、新しい勉強、部活、先生、友達…
急速に変化が起こった一か月。
それなりに上手く対応でき、充実した毎日を送っている。
でも・・何か虚しい…
新しいそれらを何故か機械的に感じるのだ。
学校のカリキュラムに従って勉学、好きだったバドミントンに勤しむ自分…
仲の良い友達と話したり、一緒にお弁当を食べたり、遊んだりする事でさえどこかそう感じてしまう…
カッ… ゴーッ… (動くエスカレーター)
私はおかしいのだろうか…
一生懸命にやってるし楽しいけど、どこか虚しくなってしまう…
ピッ… ガチャッ!… (改札が開く)
人生に・・意味を感じないのだ…
私は・・おかしいのだろうか…
こんな気持ちであと何日もこの日々を送ると考えると…
《・・間もなく4番線に・・普通・・○○方面・・○○行き・・列車が参ります…》
こんな私にも、心おける場所がある…
ォーーーーー…ォォォ…
ガッ! ゴー… タッタッタッ… スッ…
《4番線・・ドアが閉まります・・ご注意ください…》
ズッ… スゥーーッ…
ゴトッ… ガタッ…
電車に乗り、住む街から3駅離れた学校へ向かう。
乗車者は割と多いけどいつも満席にはならない。
空席があるにも関わらず、私はあえて4人座席の裏側で立つ事が多い。
今日もそこへ行き、壁にもたれた…
外の建造物・・人・・木々・・民家・・森・・
そんな光景がゆったりとしたスピードで左へ流れていく…
ドアのガラスからそれらを見ているのが好きだった。
『うん。今電車に乗ったとこだよ。そうだね、今日は玲奈の好きな英語だよね。私もちゃんと勉強したよ。一緒に頑張ろうね。
あと・・黒木君ともいっぱい話せるといいね?そっちも頑張ってね(笑)』
(Line送信)
ガタ… ゴトッ… ゴォーーー…ォォンーー…
この適度な揺れと、気が遠くなりそうな程にどこまでも続く様な機械音・・どこか心地良いのだ。
まるで、息が詰まる様な外の世界から私を隔離してくれる様な・・
30分ほどのこの時間は・・私にとって掛け替えのないものになっていた…
タッタッタッ… スッ…
中年と思われる男性の乗客が奥から歩いてき、何気なく優衣の横に立つ。
左手に持つ鞄の口が優衣のスカート下に位置していた…
( JK1年生 成績は上位で優等生層 バドミントン部
顔:端正 無表情で偶にする笑顔が可愛らしい
体:やや細身 155cm 44㎏ 黒髪(主に結び)
制服、主な服装:(上)紺ブレザー ブラウス 水色リボン (下)水色を基調としたチェック柄の膝位置スカート 黒ソックス又は素足 コンバース (その他)スポーツバッグetc…
性格:真面目で優しく常識的。どこか達観したところがある。真面目に学生生活を送る反面、心に虚しさを抱えながら日々生きている。
私生活:両親は離婚し母子家庭。荒んだ家庭環境ではなく至って穏やか。父とは月に数回会う。父の女性関係が原因で離婚したが、優衣は恨んだりしておらず変わらず父の事を愛している。
男性経験:一切なし。