いよいよ待ちに待った待望の夜がきました。
管理人さんに出した手紙には、私が泣き叫んでも構わず厳しく縛り上げてください。
暴れたらお腹を殴っても構いません。などと書き込んでおいたのでした。
実は、お腹を殴られて苦しみ悶えることを希望していた私なのでした。
でもやはり、主人に内緒で、こんな事をする自分が怖くなって来たのでした。
何度となくドアーの鍵を開けたり閉めたりの繰り返し。
でも今更後戻りは出来ない。長年夢に見続けて来た緊縛暴虐が目の前に迄迫っている。
ドアーの施錠を解除して布団に入りました。
管理人さんを欲情させる為に、薄紫色のナイロンパンティ一枚になって待ちました。
パンティの内側は、既にしっとりと濡れていました。それを管理人さんに指摘されることを期待してもいました。
布団の上で腹這いになり、自らの両腕を背中の中程で重ねたりもして待ちました。
自ら縛られることを最初から望んでいる姿勢は私の目指しているところではなかったのです。
暴漢に侵入されて逃げ惑い、捕らえられて縛り上げられることが私の理想の形だったのです。
そんな想いが頭の中をグルグルと駆け巡っていた時でした。
ドアーの開く音、そして閉まる音。内鍵が下される音が静かに室内に響きました。
もう私の逃げ場は無い。とんでもないことを計画してしまった私。
改めて自分のした事の恐ろしさに身震いしました。恐ろしさ半分で残りの半分は興奮と悦びが混じっていました。
大きな紙袋を抱えた管理人さんが寝室に入って来ました。
脂ぎった額が部屋の灯りの下でテラテラと光っていました。
スダレ状に横流しにした頭髪、お腹はでっぷりと迫り出している。
短足の割には腕は長い。反比例している身体。ランニングシャツからはみ出している脇毛。
醜い、何処をとっても良い所は無い。こんな人間に縛られて思いのままに犯されて行く私なのだ。
主人以外の男性に初めて犯される。ごめんなさいと心の内で主人に詫びる私なのでした。
私の目の前に立った管理人さんが手にしていた紙袋を逆さまにした。
ドッサと畳の上に落ちた縄の多さに驚いた私でした。
私一人を縛る為にこれだけの縄を使うのかと。
トゲトゲしい縄、蛇のように滑りをもった縄。細いものから太いものまで豊富な量。
そして手拭いも数々揃えられていました。予め手拭いの真ん中に瘤玉を拵えてある物。
私には直ぐに解りました、あの瘤玉の部分を咥えさせられて閉められるのだと。
私の好きな噛ませ轡であることが一目瞭然でした。それを見つめる私の目は潤んでいたことでしょう。
大量の縄と手拭いが畳の上に散乱していたその中に、違和感を覚える物が有りました。
布地には違いないのですが手拭いとは異なりました。
よく見ると、それは見るからに古びた男物のブリーフでした。草臥れ汚れ切った物でした。
それに混じって、女性用の下着が数枚、年代物のパンティでした。まさかとは思ったのでしたが。
ブリーフは管理人さん自身の物。パンティはもしかして亡くなられた奥様の穿き古した物としか考えられませんでした。
そこまで考えて、私の思考はストップしました。それ以上の想いは巡らせたくはありませんでした。
そのブリーフとパンティが何に使われるのか。凡その検討が付いたからでした。
そして長い夜の始まりでした。
奴隷の様な扱いを受けて朝を迎えるのでした。
これからもずっと、主人を嘯かなくてはなりません。
それもみな自ら望んだことなのです。