「先輩、俺と付き合って下さい」
私に告白してきたのは、男子部の新入部員。
(今回は、何日もつかな?)
と思った。
私が通っていた高校は、スポーツの強豪校で、当然「男女交際禁止」の掟もある。
一年の頃は同学年や先輩からコクられて、恐い先輩に睨まれていた私は、浮かれて告白してくる男子に、ウンザリしていた。
(またかよ)(怒)
私の事を、よく知らない一年坊主に、部活の厳しさを教えるのは、上級生の務めでもある。
「あなた一年よね?」
「男子部は、男女交際禁止ってルールを知らないの?」
と咎めると、
「すいません、でも俺、先輩の事が好きで、練習にも集中できなくて、」
この常套句も、さすがに聞き飽きた。
「じゃあ、今度の大会で地区大会を突破したら、考えてあげる」
と言った。
「ホントですか?」
「俺、頑張ります」
と言うので、
「全国大会にいけなかったら?」
と私は聞いた。
予選で男子部は、女子部の応援もあって健闘したが、準決勝で敗退した。
恋にうつつを抜かした一年を、出場させた男子部が敗けるのは、当然だった。
最後のシーズンを予選落ちした三年の先輩は落胆し、一緒に頑張ってきた二年の男子も、泣いていた。
応援していた私達女子部も、悔しさを共有していた。
私は、告白してきた一年を、女子部の部室に呼び出した。
私からの返事に期待した一年が、のこのこと現れた。
三年の先輩が、
「コイツか?」
と念を押したので、私は
「コイツです」
と答えた。
先輩が一年に
「オマエが、試合前に、ウチの二年にコクッたせいで、男子部が敗けたんだろ!」
と、怒鳴った。
一年女子は軽蔑の視線を送り、二年と三年は憤りを言葉にして浴びせた。
言葉の集中砲火を浴びた一年は、黙って項垂れていた。
「おい一年、オマエは私に、頑張ります。って言ってたけど、結局負けたよな?」「中学の実績で、特待生で入学したんだったら、ちゃんと結果を出せよ」
「私に、好きです。なんて言ってる暇があるなら、結果を出せる努力や練習をしろ」
と言うと、女子部のメンバーから喝采を浴びた。
その後、一年男子に、女子部の部室の掃除をさせて帰した。
この事件は、学校中に広まって、一年は同学年の女子からも軽蔑された。
学校中の部活に、男女交際禁止の秩序が徹底し、翌年の大会では、男子部も全国に出場した。
この時の経験が、卒業した現在でも、プレイに活かされている。
私は、結果を出す「姫」だから(笑)