「待って」私は懇願するかのように指を走らせた。堰を切る程の勢いで、私の心の中から、はしたない欲求があふれ出てくる。絶対の観念は、もう私を抑えられそうになかった。私言っちゃうんだ、名前も顔も知らない人に・・・そう思うだけで興奮が止まらない。自分が自分じゃなくなるような精神状態に強烈な快楽を感じながら、私は一歩一歩、指でスマホの画面を踏みしめていく。そして、最後の一歩。これで壊してもらえる。そう思いながら私は完了ボタン押す。「罵倒してください」「罵倒されながらオナニーしたいです」チャットルームに私の願望が表示される。恥ずかしさのあまり、体中が紅潮していくのを感じていると、部屋主からすぐに返事が来た。「ちゃんと素直になれたね、よくできました」思ってもみなかった部屋主の優しい言葉に、強固だった絶対の観念はあっさり崩壊した。私は我を忘れたかのように、右手でクリトリスを弄り始める。それと同時に部屋主もありったけの言葉で私を罵倒する。どすけべ、淫乱、オナニー好きの変態女・・・・チャットルームには、私が言われたくてしょうがなかった言葉たちが並んでいる。無論、私には返事を返す余裕などない。部屋中に嬌声と淫靡な水音を響かせるだけだ。しかし、それではつまらないと感じた部屋主は、更に口撃を加える。「私はオナニー大好きなどすけべ淫乱まんこですと言え」「真面目なふりをして、痴漢で悦ぶド変態の痴女ですと言え」そんな言葉、言えないと思った。私は僅かばかりに残ったプライドと羞恥心から抵抗した。「恥ずかしくて、無理だよ」「ならやめるよ、いいの?」私はズルイと思った。ベッドの上で大股を開き、だらしなく舌をだしながら絶頂に至ろうとしている女が拒否できるわけないのだ。「私はオナニー大好きなどすけべ淫乱まんこです!」「真面目なふりをして、痴漢で悦ぶド変態の痴女です!」「聞こえないもう一度言え」「私は罵倒されて悦ぶドMのド変態のどすけべ淫乱おまんこです!!」私は隣人が帰宅していることも、部屋の壁が薄いことも忘れ、絶叫しながら果てた。ところが、部屋主からの口撃は終わらない。チャットルームには矢継ぎ早に罵倒の言葉が浮かび上がってくる。イッた直後にこんなに言葉責めされたら、頭がパンクする。そう思った瞬間、脳と下腹部にジンッと電気のような快感が走った。何が起きたか分からなかった。ただ一つ分かることがあるとしたら、それは、私が自分の身体を一切触らず、部屋主のメッセージを見て絶頂しているということだけだった。とにかく異常だ、一旦、休憩にしてもらおう。そう思い、部屋主にメッセージを送ろうとするが、次々とチャット欄に浮かび上がってくる罵倒の言葉を見るたびに、脳と下腹部に強い快感が走り、何もすることができない。気づけば脳が蕩けるような感覚の中、私は「もっと」と懇願していた。それ以降の記憶はない。
...省略されました。