SMサークルには、プロと呼ばれる調教師がいる。
クライアントの意向に沿って、対象者の身体を開発する仕事。
恋人や愛人、夫婦など、関係は様々らしいが、被験者の反応も様々。
その日、拘束されていた男性は、スウェット姿の男性。
彼を拘束した男性と入れ替わって入室すると、いきなり怒鳴られた。
「放せよ!」
「ふざけんな!」
ガチャガチャと拘束する金具を鳴らし、必死に逃げ出そうと試みる男に、先輩のS女が近づき、私は後についた。
彼女は反抗的な男に向かって、
「はじめまして」
と笑顔を浮かべながら挨拶をした。
私も続いて挨拶をしようとしたら、遮るように男が
「テメェ、ふざけんなよ!」
「こんな事をして、タダで済むと思うなよ!」
と、威圧してきた。
彼女は、そんな言葉にも怯まない様子で
「あらあら、威勢が宜しいようね」
と褒めて、
「でも、お口の訊き方も知らないようね?」
と言って、たしなめた。
「躾の悪い家庭で育ったのかしら?」
と挑発すると、男はさらに暴れて、
「ふざけんな、ババァ」
「早く外さないと、お前ら犯すぞ!」
と脅迫してきた。
緊迫した空気の中でも、彼女は決して笑顔を絶さない。
「まぁ、怖い」
「どんな風に犯すのかしら?」
と、彼を挑発するように語りかけた。
「うるせえ、変態女」
「テメェみたいな女、なぶり殺してやる!」
興奮した男は、様々な罵詈雑言を吐き始めてきた。
最初は優しい笑みを浮かべていた彼女の表情に、私は冷ややかな物を察した。
緊張していた私とは対称的に、罵声を浴びせられた彼女の顔や身体が赤く染まって行き、体温が上がっているように感じた。
すると、突然、
「うるせえ、チンピラ!」
と、一喝すると、豹変した彼女は、男の頬に平手打ちをした。
パシッと音が鳴り響いた部屋に、冷たい沈黙が漂った。
気品と色香を漂わせていた彼女から、邪悪な気配が噴き出していた。
「いい加減、黙んな!」
と男の口を鷲掴みにすると、彼女は顔にツバを吐きかけた。
呆然とした男の口を目掛けていたのか、口に飛んだツバに男は噎せかえっていた。
すると彼女は、私に微笑みながら、
「コイツ、煩いから、口枷をお願いしますね」
と指示した。
私は道具の中からボール・ギャグと呼ばれる口枷を取り出し、男の頭の方に回った。
「あまり近いと、噛み付くかも知れないから、気を付けてね」
と私に優しく忠告したかと思うと、彼女は男に
「この子に噛みついたら、どんな目にあうのか、分かっているよね?」
と、男の股間に手を置きながら、脅迫した。
恐る恐る枷を装着しようとしたら、抵抗してきたので、私は男の鼻を摘まんだり、前髪を引っ張ったりして、何とか着ける事ができた。
「随分と時間が掛かったわね?」
と彼女に言われた私は、叱られると思って緊張した。
「コイツが暴れるから、仕方ないわよね?」
と言うと彼女は、
「でも、次からはテキパキと動いて頂戴ね?」
と言われ、
「すいません」
と言って、私は彼女の指示に迅速に対応した。
私が手こずっていた間に、男の下半身は剥き出しにされていた。
毛むくじゃらで、汚ならしい男性器は、だらしなく垂れ下がっていた。