朝から銀行へ行き150万円を降ろした。
二泊三日のSMサークルの納会。
年会費の札束には、銀行の帯封が施されている。
年に一度、目の前にする札束は、お金の現実感を失わせ、テーブルの上で立ててみたり、自分で自分の頬を叩いて遊んでみる。
ご祝儀袋に三万ずつ入れて、バッグに入れた。
普段、現金を持ち歩かない私にとって、この額は大金だった。
シートの下にバッグを隠すと、クルマのエンジンをかけた。
高速に乗る前に、美容院に立ち寄り、同行するメイクさんと、M女さんを拾った。
「はじめまして」
声をかけたのは、参加者の中では数少ない私より年下のM女さん。
初対面の私に、人見知りしている彼女は、緊張していた。
22歳と言う彼女の荷物をトランクに入れると、助手席に座らせた。
後部座席には、彼女をメイクした美容師さん。
普段は私もお世話になっている彼は、ウキウキした気分を漂わせながら、メイク道具を後部座席に積み込んで、私にクルマを出すように指示した。
一般道から高速に入ると、彼は疲れていたのか、後部座席で寝てしまい、彼女との女子トークが始まった。
モデルになる事を夢見て、パトロン夫婦の家に住み込みながら、雑誌の読モや、カタログのモデルをしていて、SMも最近になって始めたらしい。
サークルのイベントには、初めて参加する彼女は、少し怯えていた。
「やっぱり、恐い人ばかりですか?」
とS女の私に訊ねて来たので、
「みんな私みたいだよ」
と答えたら、
「りなさんも、恐い人なんですか?」
と訊かれた。
自分で自分の事を「恐い人」って自己紹介する人もいないだろ?
って思い、運転しながら失笑した。
途中のサービスエリアに立ち寄って、軽く食事をしながら休憩した。
渋滞はしてないが、家族連れも多くて、かなり賑やかだった。
彼女がトイレへ行きたいと言うので一緒に行くと少し行列が出来ていたので、多目的トイレに二人で入った。
私の方が年上だし、Sだから、先にオシッコをして見せた。
「凄いです」
「私、目の前で女の人がオシッコしているのを見るの、初めてなんです」
と言って、彼女は少し離れて見ていたから、
「もっと近くで見て良いのよ」
と手招きした。
「りなさんも、剃ってるんですね」「Mなんですか?」
と訊かれたので、
「趣味で剃ってるだけ」
って答えた。
私が用を足した後、彼女に後始末を指示した。
ペーパーを手に巻いた彼女は、私のアソコに手を当てて、指先を使いながら、キレイに拭き取ってくれた。
次に彼女が便座に腰かけると、私は彼女のアソコに手を伸ばした。
「あん、ダメですよ、りなさんの指が汚れちゃいます」
と言う彼女に、
「じゃあ、もうちょっと我慢して貰おうかな?」
と言った。
「えぇ?」
「でも、私、もう限界で、」
と言うので、
「我慢しなさい」
と言うと、彼女は必死に我慢していた。
すると、扉をノックする音がしたので、私は扉の方へ向かい、引き戸を全開にした。
外には車イスに座った男性と、介護の男性が立っていた。
私は、
「すいません、私達、オシッコが我慢できなくて」
「彼女も、すぐに済みますから、中で待って下さい」
と、二人を中に入れた。
「ほら、待ってる人がいるんだから、アナタも早く済ませなさい」
と言うと、彼女は顔を伏せながら、勢い良くオシッコを噴き出し始めた。
両手でアソコを隠しながら放尿は、しばらく続いた。
すべて出し切った彼女は、慌てたようにアソコを拭き終わると、呆然と見ていた二人の前で立ち上がって、パンツを上げた。
そして外へ出ようとした彼女を引き止めた私は、
「ちゃんと手も洗いなさい」
と言って、洗面所で手を洗わせた。
「すいません、私達のオシッコで臭いですよね?」
と男性達に声をかけふと、彼女は涙目で私を睨んで、外へ駆け出して行った。
扉を閉めると、中から水を流す音が聞こえた。
彼女は流すのを、忘れていたらしい。
私は自販機で、三人分のコーヒーを買って、クルマに戻ると、
「りなちゃん、ひどいなぁ」
と、美容師さんに言われた。
彼女は彼に、私のした事を話したらしい。
「しょうがないでしょ?」
「あそこは障害者優先なんだから」
と悪びれる事なく答えた。
「そりゃ、そうだ」
と、彼も同意した。
彼女は、しばらく拗ねていたが、高速を下りる頃には機嫌を直していて、私達のSM談義に参加していた。
つづく