田舎に暮らすバツイチの女性に精子ドナーを依頼されて、M男くんを同伴して、彼女の家に向かった。
初めて種付けの大役を任されたM男くんは、嵐の中だと言うのにハイテンション。
とても元ホストとは思えない。
暗い夜道を、ナビの通りに着いた先は、田園に囲まれた中で、大樹の林の縁にポツンと立つ小さな一軒家。
資産家の前夫から、手切れ金代わりに譲られたとは言え、35歳の女が一人暮らしをするには、贅沢だと思った。
出迎えたクライアントは、資産家と結婚するだけあって、なかなかの美人。
色気のない普段着も、見映えがする。
M男くんに荷物を運ばせている間、彼女と打ち合わせをした。
初対面だが、気に入って貰えたらしい。
SMは未体験だと言うが、以前から興味はあったらしい。
離婚してからも、前夫の支援で生活してきたが、親の決めた女との再婚が決まったらしく、彼女は出張形風俗で働き始めたと言う。
いわゆるデリヘルという物らしい。
私の知り合いが、彼女を呼んで話をしたのがきっかけで、今回の依頼になった。
子供は欲しいし、いずれは教職に復帰したいと言う彼女。
真面目な性格の裏に、前夫への腹いせみたいな物も感じた。
さっそく、身体検査をするために、私達の見ている前で、服を脱いで貰った。
ボディメイクに無頓着なのか、風俗の仕事をしている癖に、崩れた体型は相応のオバサンだった。
左右に広がって垂れたオッパイも、張りの無いお尻も、お世辞にも褒められた部分はない。
私が正直な感想を言うと、M男くんは彼女を庇うように
「素敵ですよ」
と、私の感想を否定した。
そこで、翌日は台風が来る事もあり、早めに休む事になった。
私が一人で彼女の寝室を使い、二人には外の物置で寝て貰う事にした。
中身は空の物置に一組の寝具と、トイレに使うバケツとペーパーを持ち込み、照明は防災用のランタンを使った。
二人から服と履き物を回収して、扉を閉めた。
外は雨も落ち始め、風も強くなった。
時おり突風の吹く中、初対面で全裸の二人は、物置で嵐の一夜を過ごし、私は彼女の寝室で一人、台風のニュースを深夜まで見ていた。
つづく