周囲も暗くなり、近所の家から夕食の匂いが漂うような夕方。
私はクルマに道具を積み込み、静かに家を出た。
明るい内に、運動で一汗かいた私は、軽く汗をタオルで拭っただけで、露出の多い服と下着を着ていた。
車内には自分でも噎せるほどの臭気が漂っていた。
外は台風に伴う風雨で、閑静な住宅街には、誰も歩く者はいない。
少し離れた駅前に、時間通りに到着すると、一人の男が笑顔で駆け寄ってきた。
「こんばんは先生。」
「今日は、よろしくお願いします。」
低姿勢の男は、私より年上の30代。
「こんばんは、待たせたかしら?」
と訊くと、
「いま着いたばかりです。」
と答えた。
彼は後部座席の足元に、濡れたバッグを置くと、助手席に座った。
髪や服も濡れていたから、早めに来ていたのだろう。
「先ずは、どこへいきましょうか?」
と訊ねると、
「先生に、おまかせします」
と言うので、駅から離れたゲームセンターへ向かった。
昼間は夏休みの子連れで賑わう店内は、夜になると大学生や、社会人ばかりになる。
男ばかりの遊技場に入店すると、一斉に注目を集めた。
数人の男性グループが、店に来た女を品定めするように、小声で話をしている。
黒いドレスのシースルーからは、黒い上下の下着も透けている。
短いスカートから露出したガーターベルトに、熱い視線が注がれる。
トイレでメイクを直して、羽織っていたショールを脱ぐと、開いた胸元から弾けそうなオッパイが顔を見せる。
トイレから出た私に、再び注目が集まると、メダルを購入した彼が駆け寄ってきた。
「先生、みんな先生の事を見てますよ?」
「良いんですか?」
慌てる彼に私は、
「何か問題でも?」
と切り返す。
露骨なヤキモチをやいてくる彼を無視するように、私はメダルのカップを奪い取り、店内を廻り歩く。
身体から汗の臭気を振り撒きながら、連れの彼が後からついてくる。
ゲームに夢中だった男の子がいたので、
「となり、空いてますか?」
と訊ねて、イスに置いていた荷物を退かせた。
ゲームに集中しようとする男の子に、
「これって、どうやって遊ぶの?」
と、声をかけて注意を引く。
肩と肩を擦るように密着させてる私達を、向かいの席から睨む彼の嫉妬に狂った視線に興奮する。
メダルが減ると、
「ありがとう」
と言って、他のゲーム台に座る。
大量のメダルを稼いでいた男の子の隣に座り、自分のメダルを使い切って、
「あ~ぁ、終わっちゃった」
と言うと、男の子は積み上げていたメダルのカップの1つを私に差し出し、
「良かったら、どうぞ」
と笑顔で言った。
私も笑顔で
「ありがとう」
と言って、貰ったメダルを使いながら、男の子と親しく話をしていた。
しばらく遊んでいたら、彼が拗ねた表情を見せて来たので、残ってたメダルを返して、胸元を強調するように、お辞儀をした。
「ありがとう。楽しかった。また会ったら遊んでね」
と言って店を出た。
拗ねたまま、不機嫌そうに黙ってる彼に、
「楽しかったね」と言うと、
「楽しそうでしたね」
と、嫌味っぽく返事をした。
「楽しくなかったの?」
と、神経を逆撫でするように訊ねると、
「だって、」
と言って黙り込んだ。
年上だけど、童顔で拗ねる様子が可愛くて、私も我慢できずに、
「イジワルしてゴメン」
「先生を許して」
って甘えてみせた。
少し表情を緩ませていたから、彼の右手を掴んで胸に導くと、
「先生のオッパイで許して」
と言った。
彼の手のひらの熱で乳房が疼き、
「あぁ~ん、気持ち良いぃ」
と喘いでみせたら、彼は機嫌を直した。
ホテルへ行く前に、もう少し楽しもうと、私はクルマを山道に向けて走らせた。