「○○便は定刻通りに・・」とロビーに響くアナウンス。
到着口で待っていると、しばらくしてから姿を現した。
台風が過ぎ去ってからというもの、めっきり寒さが強くなったこの頃。
向こうを出発するときは違和感もなかったのだろうが、この季節にこの大地で半袖姿はあまり相応しくない。
着込んでいたのは黒の半袖ニットに白のタイトスカート。
足が太いからとスカートを嫌がっていたが、ちゃんと言いつけは守ったらしい。
荷物はいつもの見慣れた小さなバッグだけ。
たった一晩の小旅行だからと大きな荷物も持ってこなくなった。
俺を見つけるなり嬉しそうに笑って手を振ってくる。
ひと月ぶりの逢瀬だが、また少し痩せたらしい。
「やっぱり太いよりは細いほうがいいかな・・・。」
以前にスタイルを問われて何気にそう言った。
こっちは深い意味もなく言ったつもりだったが、向こうは真剣にとらえたらしくダイエットはまだ続けているようだ。
あまり痩せられても魅力が半減するから、そろそろ許してやろうかなどと考える。
スレンダーは好きだがそれでも肉感的な身体が好きなのであって、ギスギスの針金が好みなわけじゃない。
手にしていたバッグを受け取ってやると「ありがとう」と微笑む。
童顔だから見た目は三十路だが、すでに四十は越えている。
髪の毛を長く伸ばすのだけが小さな子供の頃から変わらない。
「今日はどこに連れて行ってくれるの?お兄ちゃん。」
旅行が好きで昔から色々なところに出掛けて思い出作りに励んでいたらしい。
今は北の大地にしかやってこない。
「そうだな・・・。」
と考えてはみたものの、10月間近の北海道はあまり観光名所などもない。
内地なら紅葉なのだろうが、こっちの紅葉は茶色くなるだけで見応えもそれほどない。
インドア派の俺に観光の知識は皆無。
「とりあえず出掛けるか・・・。」
と適当な山の中に連れて行くことを考え、駐車場に足を向けた。
車に乗り込むなり隣りに腕を伸ばして、スカートの中に手を入れる。
白のタイトスカートは膝上までの短いもの。
「だめだよ・・・。」
と慌てて俺の手を押さえにくるが、払おうとする腕にあまり力はない。
カサカサとした安っぽい生地の感触に続いたのは、ぬめりとした生肉の温かさ。
穴あきパンツは俺の好み。
「無理だよ・・・。」なんて言ってたくせに、すっかり俺色に染まっている。
ちゃんとメス犬になっているか確かめたかっただけだが、生々しさを実感した途端に虐めたくなる。
後ろの席に置いてあった俺のバッグからバイブを取りだし、それを手渡した。
「えっ!?ここから!?」
と驚いた声を出すが、一旦言いだしたら聞かないのは妹も承知のこと。
まだ外は明るくて、午前中の駐車場にはひとの出入りも結構ある。
「早く」と促したら、恨めしそうな顔をしながらも渋々それを自分の股に入れていった。
それなりの太さがあり器用に尻を浮かせながら苦労して入れていく。
全部を入れてしまうと、ホッとしたように息をついた。
「こんな事ばかりするなら、もう来ないからね・・・。」
などとふくれた顔を見せるが、ここ最近は俺から来いと言ったことはない。
散々虐められ、泣かされて帰っても、その夜に送ってくるメールは決まってハートマーク付きで「また行くね」と書かれている。
自分がマゾだと認めたくないのか、俺との会話ではいつも否定する。
だが、虐められるとわかっているくせに毎月やってくる。
この頃は何をしても拒まない。
いや、拒めない。
「メシでも食うか?」
とバイブを入れたままの妹に訊ねる。
今度は何をされるのかと脅えた目を向けていたが、スイッチは入ったらしく妹は小さく頷きながら「うん・・」と答えた。