小さく揺れる肩に手を回し声を掛ける。
「彼女もちゃんとお母さんを見てるし、少しゆっくりしては?」
「はい…でも二人きりだから気を張ってないと」
「そうか。なんとなく解るけど、ちょっとだけお母さんを前に出してはどう?今は姉妹みたいな母娘が自然みたいだし」
「ええ…もう子どもじゃないかも」
「親には子どもでも本人の成長は止められないからね」
「うん、あ、そうですね。さっきも大丈夫だから帰っていいよって笑ってました」
「病院に一泊?」
「熱が下がれば帰れるそうです」
「良かった。さすがお母さんの子だ」
「はい(笑)」
「やっと笑った。緊張しましたよ」
お茶を入れ替える。
「浜田さんは独身?」
「気楽にやってます。○○さんは恋はしないまま?」
「あ~えっと、離婚して12年かなぁ。すっかり忘れてます」
「仕事柄出会いはあるでしょ」
「ん、なんか接待みたいな事もするけど変な雰囲気に持ち込む人ばかりで」
「美人だし独身に見られる?」
「子どもがいるって話すと驚かれます。で、シングルとバレないようにダミーの指輪つけてるの」
と左手を見せて笑った。
じっくり見ると35歳ながらまだしわもなく、やや長めの黒髪を耳にかけ若々しい。
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