痴漢の言葉に、頭と身体がぼ~っとなっていた私は拒否することができませんでした。
「加奈ちゃん、行こうか、、、」
電車が駅に着くと、後ろにいた痴漢と左右にいた痴漢の3人に連れられて、私はフラフラな足取りで電車を降りました。その他の野次馬のおじさんたちはそんな私達を電車の中で名残惜しそうに見ていたと思いますが、私はそれを気にする余裕はありませんでした。
私たちが降りた駅は、私が降りるはずだった最寄り駅の何駅か手前の駅でした。
痴漢されて逃げれず、最寄り駅を過ぎてから○○線内回りを4分の3周ほどしていたようでした。
駅のホームをおじさんたちと歩いていたら、かばんの中に入れていた携帯電話が鳴りました。
私もおじさんたちもびっくりしました。電話はお母さんからでした。
「友達と会って、今日は友達の家に泊まると言いなさい」
痴漢のおじさんの1人が私に言いました。
私が電話に出ると、お母さんの心配そうな声が聞こえました。
「加奈、大丈夫?遅い時間だけど何かあった?」
「、、、大丈夫」
お母さんの声を聞いたら安心して涙が溢れました。今すぐ帰りたいと思いましたが、おじさんたちに囲まれて助けを乞うこともできず、
「お母さん、、、帰りに友達に偶然会って、、、今夜は友達の家に泊まることになったから、、、」
「そうなの?ご迷惑でしょ?その友達のご両親に挨拶しなくていいの?」
お母さんの元気な声が聞こえました。
「、、、大丈夫。明日帰るから心配しないで」
私は涙を拭きながら言いました。
「わかった。迷惑かけないようにね」
お母さんが言いました。そのあと、お母さんと少し会話してから電話を切りました。
痴漢のおじさんが、
「大丈夫?」
と聞いてきました。
「、、、今日は泊まるって言いました、、、」
私はお母さんに嘘をついたことにすごく罪悪感を感じながら答えました。
「よかった(笑)」
おじさんたちは嬉しそうにしていました。
「駅前におじさんのアパートがあるんだけど、、、その前にこっちに行こうか」
痴漢のおじさんは言いました。私はおじさんたちと手を繋がされてしばらく歩きました。
痴漢のおじさんたちに連れられて、私は駅ビル地下の身障者用トイレに入りました。
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