※大浴場にて2
男達の突き刺さるような視線の中、なんら躊躇なく堂々と壁際の横一列に8つほど並んだ洗い場の真ん中あたりに娘と二人で陣を取った。
浴槽内にいる男達の誰一人として声を立てる者はおらず、普段であればなんら変わりのないノンビリとした銭湯の風景であろう…。
しかしこの日は珍客(笑)とも言える娘の存在に、この後おこるかもしれない「何か…」を否応無しに期待せずにはいられないのだろう…。
背中越し故に気付かれていないと思っているだろうが、もしかしたらのハプニングを心待ちにし、洗い場の椅子に腰掛ける娘を未だ犯すような視線で見続けている事実を私の目の前にある洗い場の鏡がそう伝えている。
角の洗い場にいた中学生らしき少年にいたっては、身体を洗っていた手は止まったままだが顔をこちらに向き直し明らかに娘をガン見している。
ストレート過ぎるが、ある意味アッパレな少年だ(笑)
そんな少年の存在を気にしつつも娘がシャワーに手をかけた。
父「さっき掛け湯もしたことだしササッと流す程度でいいぞ。夏場じゃないし汗かいた訳でもないだろ?」
娘「ラジャ!!」
父「ラジャ?」
父「……こちら本部。所属部隊と戦局を報告せよ!!」
娘「え…?わかんないって」
父・娘「爆笑」
身体を流し終え多少緊張も緩んだろうと娘を浴槽に誘った。
洗い場の椅子から立ち上がり浴槽に向かおうと振り返った瞬間、様子が一変していた。
あれほど娘を見続けていた男達の視線は黙って天井を見つめる者、不自然に目が泳ぐ者、急に湯船で顔を洗い出す者がいた。
私が先を歩いていたために面と向かい合う状況でピタピタと後ろに付いて歩く娘をマジマジと見る訳にもいかなかったのだろう。
唯一人の男を除いては…。
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