あの時の便璃の表情を文字に起こすのは難しい。難しいので、今この文章を読んでくれている人に、その時俺が気付けなかった事実を知ってもらいたいと思う。
便璃は、マゾだ。
当時の俺が、初対面の少女に対し「この子はSかMか」などと考えを巡らせる訳もなかったのは、仕方のないことだろう。ていうか、その頃はSとかMとか、そういう概念すら俺の中にきちんとあったかどうか。
とにかく、俺の力量不足で情景や心情の表現に欠陥がある場合は、「Mの子だから、きっとこんな顔していたんだろうな」とか「この子Mの割にこんな大胆な……」とか脳内補間して、当時の俺よりも興奮して頂ければ幸いです。
本当は「いや、便璃はそんじょそこらのMとは違う!作品や妄想に出てくるような設定的なMじゃなくて、もっとこう、現実的な癖に空想的というか、“さっぱりとして、それでいてコクのあるM”なんだ!」と声高に主張したいところ……。
話が脱線したけど、後付解釈も含めて便璃の様子を説明すると、表情は「色っぽいオンナのカオ」+「怒られて泣き出す寸前」といった感じ。頬をテーブルにくっつけながら、半開きの口でチラチラと黒目を動かしてこちらの顔を伺うあの様子は、正直堪らなかった。俺の中に住んでいるどす黒い生き物が、便璃の視線をエサにしてすくすくと育っているような、そんな興奮を覚えた。
今思えば、便璃はあの異常なシチュエーションを、俺の何倍も楽しんでいたに違いない。「いや、これもう押されてるっていうか食い込んでるだろ」ってくらいに密着した便璃のアソコを、俺の足から離そうとしなかったのが何よりの証拠だ。
さらにこれも後付だけど、あの時の便璃は、変なことを言って俺を動揺させることで、俺からのお仕置きを欲していたようにも思える。で、偶然っていうかただ俺がビビっただけだったんだけど、とにかく結果として俺が便璃のアソコを強く蹴り上げてしまったことで、向こうにも変なスイッチが入ってしまった、と。
兄貴達が怖くて足を離したかったが、便璃の放つ淫靡な雰囲気に魅入られて、結局それはできなかった。できないのであれば何をしても一緒だと、ある種の開き直りを見せた俺は、「あれ、便璃ちゃん本当に眠っちゃったんじゃないのー?」みたいな白々しい事を言いながら、まるで嫌いな奴の頬をねじ切るあの動きを再現するように、便璃のアソコを足の親指とその他の指で、ぐにゅんぐにゅんと引っ掻き回していた。
続きます。
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