いくら先ほど成功したとは言え、やはり一番敏感な部分に足を伸ばすのには勇気が必要だった。緊張と集中のあまり、周りの音が急に静かになったような錯覚を覚える。
心臓が早鐘のように鳴る。それは向こうも同じだろうという考えは、俺の思い上がりだろうか。
俺のつま先が便璃のふとももの間を突き進む。ちなみに今の便璃の姿勢は、両ひざをV字に緩く開けた正座といった感じ。つまり、奥に進めば進むほど脚と脚の間隔が狭くなり、その分俺たちの密着面積と密着圧が増えることになる。
「……」
便璃はというと、俺以外の3人に後頭部を向け、テーブルに頭を乗せながらチラチラとこちらを見ていた。一旦テーブルの上に落ち、さらに床に落ちる彼女の長髪が、まるで漆黒の滝のようで 、芸術的なまでに綺麗だったのを覚えている。
彼女がちょうど話し始めた時、とうとう俺の足が便璃の最奥部に達した。
「……んー」
その途端、そんな呻き声をあげて、会話を中断させる便璃。
彼女の顔色を伺う俺。特に変わった様子も見せず、相変わらず眠そうな声で、俺の質問には返答してくれる。
(よし、嫌がってない!今気持ち良くしてやる!)
という意気込みのすぐ後、俺たちの会話が普通に小休止した。今度はさっきよりも強く蹴ってやろうと思い、もう一度俺が声を掛けようとした時、便璃でニヤっと?いや、クスっと?とにかく意味ありげな微笑を浮かべ、
「……届いたぁ」
と俺に呟いて、アソコを俺の足に押し付けてきた。
正直、超焦った。「何が届いたやねん!」と、心の中でツッコミをした。心臓が縄跳び二重跳びにトライしたような、そんな錯覚を覚えた。
その「届いた」は、その時の会話からはまず出てきようのない言葉。もし隣の3人が俺たちの会話を聞いていたら……。
驚きのあまり、俺は思わず身体をビクンとしてしまった訳ですよ。で、その勢いで便璃のアソコに触れている足に力が入ってしまった訳ですよ。
「あっ……」
今思えば、便璃からしてみたらあの蹴りは「バカ、何言ってるんだ!」という俺の叱責にも受け取れたかもしれない。その時俺は全くそんなことは考えてなく、むしろ「とにかく、さりげなく足をどけよう……」とか、そういう方向に考えを巡らせていた。
しかし、それはできなかった。兄貴達がこちらを気にかけている様子が微塵も感じられなかったというのもあるけど、それは無理だ。あんなウットリと切なそうな、オンナのカオを見せられては……。
続きます。
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