『やっぱり迷惑?』
『そうじゃないけど、俺は昼間仕事でいないし』
『掃除とか洗濯とかはしてあげるよ?あとご飯も作れる』
『ってか俺男だし。平気なの?』
美晴はしばらく考え込んでいました。
『私のこと、襲いたくなっちゃう?』
そう聞かれました。
『襲いたくなる、だろうね、多分』
再び考え込んでしまう美晴、そして言いました。
『自分がどうしたいって気持ちが、今でもよくわからない。ごめんなさい』
そう言われて、なんか変に納得してしまい、しばらく様子見るかって気になりました。
汗かいたからお風呂入りたいと言った美晴に、お風呂の使い方を教えました。
『これってどこで着替えるの?』
古アパートの風呂、脱衣場なんかありゃしません。
ダイニングキッチンからダイレクトでトイレ、風呂場ですから。
ダイニングで着替えるしかないから、お風呂中は、八畳の部屋とダイニングの扉、閉めとくからと言い、美晴はお風呂に入りました。
お風呂中、俺は美晴の持ち物を見ました。
財布の中の所持金は一万と数千円、ボストンバッグの中の封筒にさらに二万、意外と持ってる、おそらくお母さんから持たされたか。
それに比べ、着替えは少ない、服数点、下着数点、まるで二、三日旅行に行きますくらいの荷物でした。
それに先に出した洗面道具と宿題。
そうこうしてるうちに、風呂から出て、パジャマ姿できた美晴は、ドライヤーで髪を乾かし始めました。
『お金、いくらくらい持ってきたの?』
見て知ってはいたけど、あえて聞きました。
『三万くらいある。帰りの電車代とバス代と自分が数日生活できるくらいはあるから、心配しないで』
そして俺も風呂に入り、そして布団を八畳に二組敷き、床に入りました。
不思議だったのが、美晴の携帯が、友達からのメール以外、鳴らなかったこと。
親からの連絡が何故ないか、それとも美晴からメールなりなんなり送ったのか聞きました。
『待合室で待ってる間にお母さんにメールはしたよ。それで終わり。そうゆう親だから。弟の方に忙しいんでしょ』
そう言って、しばらくしたら、スースー寝息を立てて、まるで俺に襲われたらなんて心配のかけらもないくらい、ぐっすり寝ていた美晴でした。
『勝司さん、ちょっと、ちょっと』
翌朝、美晴に揺り起こされました。
時計見たらまだ六時前。
『何?』
『冷蔵庫ん中、何にもない。パンもない。朝ご飯作ろうかにも、何もないよ』
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