お盆になった。
昨日、午前中にガキの家に行ってガキを連れ出した。
行く先はデパートの衣料品売り場。
まず下着売り場だ。
ワゴンセールの所じゃなく、専門店のテナントに連れて行く。
「お兄ちゃん、いいよ、私、新しいのいらないから。」
遠慮するガキの手を引いて女性店員に声を掛ける。
この子の下着一式をお願いします。
実用だけじゃなく、友達とお泊まりする時、恥かしくないものを。
「まあ、可愛いお嬢さんね。お姉さんに任せてもらっていいかな?」
ガキがいつもと違い恥ずかしげに口ごもりながら
「お願いします・・」
って答える。
店員は俺にも聞こえる声で遠慮なしにガキに尋ねる。
「もうブラジャーしてる?」
「いいえ、まだ・・」
「じゃあ、ブラジャーから選ぼうね。」
店員がガキを売り場の中に案内して行った。
俺は、通路のイスに座って待つ。
やはり専門店だと時間がかかるな。1時間近く待った。
店員とガキが奥から出てきた。
「お嬢さんの希望でこのような物を選ばせていただきましたがいかがでしょうか?」
やっぱりガキだな。ほとんどが白ばかりだ。
うん、それをお願いします。
あと、この子はブルーが似会わないかな。
「はい、私もお嬢さんは薄いブルーがお似合いになると思います。
お探ししましょう。」
しばらくしてブラジャーとパンティとキャミソールを持ってきた。
薄いブルーの可愛いデザインだ。
「少し股上が短いですが、お嬢さんも来年は中学生ですので大丈夫だと思います。」
うん、ではそれもお願いします。
ガキはまるで店員の前で裸にされたかのように顔を赤くして俯いている。
支払いをして包装した商品を受け取る。
「お兄ちゃん、私にこんな良い物いらないよ。
私みたいな子供、何を着ても同じだよ。」
違うって。絶対に違うよ。
お前は普通の子供じゃないんだ。
どんな一流のランジェリーだって御似合いだろう。
次は・・、浴衣売り場だ。
御盆なんだ。女の子は浴衣くらい着なくちゃな。
「お兄ちゃん、私は良いって。お兄ちゃん、自分のを買って」
ううん、俺はお前の浴衣姿が見たいの。
さっき買った下着に、浴衣を着て俺の目を楽しませてくれ。
嫌かい?
真っ赤になったガキ。
「ううん、お兄ちゃんがそうしたいなら・・、私、何でも着るよ。」
良い子だね。
さあ、店員さんに浴衣の着方を良く習っておくんだよ。
デパートからの帰り、ガキは紙袋をしっかり抱きかかえて歩いた。
大切な宝物みたいに。
夕方になったら、浴衣を着て、お父さんの御墓参りに行こうな。
お母さんは再婚したばかりで、先夫の御墓にお参りもできないだろう。
俺と一緒に行こう。
ガキは無言でコクンと肯いた。
泣き虫め。涙が頬に流れてるじゃないか。
ああ、流させたのが俺なら、それもいいかな。
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