昨夜、ガキが来てくれた。
俺が帰るまで3時間、寒い中で待っていてくれた。
二人で部屋に入る。
2カ月前にガキが監禁されていた時と同じだ。
俺の服を脱がせてハンガーに掛ける。部屋着を着せかける。
風呂を沸かす。ベッドを整える。
ガキはコマネズミみたいに働く。
俺は、疲れた頭で考えている。
何か気をつけなくちゃいけなかったけど・・・。
ガキが持ってきてレンジで温めてくれた肉じゃがを食う。
美味いよ。正直。
「お風呂沸いたよ。」ってガキの声。
うん、入るか。もう、4日間シャワーだけだった。
服を脱ぐ俺の前で口ごもるガキ。
「あの、あの、・・」
2度目だね。今度はなんだい?
「一緒に入っていい?」
勿論だ。一緒に温もろう。
天真爛漫なガキの裸体。綺麗だ。本当に綺麗だ。
にっこり笑いながら湯船に入ってくる。
湯船の中で身体が接する。
「温かいね。今日は寒かったもんね。」
そうだね。その中で、俺を待っててくれたんだね。
「私、少し太ったんだよ。」
うそつけ。相変わらず痩せてるじゃないか。
「お兄ちゃん、痩せてない?」
そうかな?自分じゃ気が付かなかったけど・・。
ガキが俺の頭を洗ってくれる。
「かゆいとこ、ないですかー?」
お前、理容師になれるよ。本当に。
身体中を洗ってもらう。まだ弱い手に力を込めて擦ってくれる。
「垢でたよ。痛くない?」
痛いもんか。天国だよ。
風呂から上がって、ついに鬼畜やっちまった。
俺の髪を乾かし終わったガキが、自分のパンツを穿いた時、
言ってしまった。
「そのままでいてくれ。」
って。
言ってすぐ気が付いた。
しまった。ガキ嫌がるだろうな。
「裸のまま?いいよ。」
「私、ガキンチョボディでごめんね。」
うー、やっぱり俺の鬼畜、滅びてないな。
ガキが許してくれるのを見越して言ったな。
久しぶりに、俺のベッドに一緒に寝る。
ガキの身体の匂いがする。そして温かい。
華奢で壊れそうな細い身体。全て心地よい。
俺は、眠くなってしまった。
俺がガキを抱いてやるはずなのに、反対に
ガキが俺の髪を撫ぜてくれている。
ガキが小さな声で何か口ずさんでいる。
小学校で習った曲だったっけ。
ガキを抱くのは、少し休んでから・・・。
見事に落ちた。熟睡だった。
今朝、ガキから起こされた。
「お兄ちゃん。おはよう。ご飯できてるよ。」
すまん。せっかく来てくれたのに寝ちまった。
「ううん、お兄ちゃんのお仕事大変だもんね。」
「今日、洗濯とお部屋の掃除しとくから」
今日も、遅くなったらどうする?
「待っとくよ。夕ご飯一緒に食べようね。」
そうだね。できるだけ早くかえるから。
そのあげく、帰還は午前0時。
何度もメールした。
先に食べとけ。眠くなったらベッドで寝ろよ。
温かくしておけ。
部屋に入って涙が出た。
夕飯の支度の出来たテーブルに手を付けた様子はない。
ガキはリビングの床で毛布にくるまって寝息をたてている。
暖房は使っていない。
俺が悪かったよ。お前はそういう子だったよね。
そっと抱き上げてベッドに移す。
横に添い寝したら目を覚ました。
「あっ、お兄ちゃん、おかえりなさい。」
「眠ってしまってごめん。」
片手でガキの身体を俺の胸に引き寄せる。
良いからお眠り。
今日は、俺が寝顔を見といて上げるから。
お前の温かさを感じられれば十分だよ。
ありがたいことにガキはまた夢の中に入ってくれた。
明日の朝、またお別れだ。
ガキに何にもしてやれなかった。
仕事なんだ。
でも、泣きごとは言うまい。
がきは、「お仕事がんばってね」って言ってくれてる。
俺が、仕事をする男って認めてくれてるんだから。
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