金曜日の朝、めずらしくガキが朝寝坊した。
「朝ごはんが、お弁当が、ごめんなさい・・。」
ってガキにしては珍しい大パニックだ。
心配ないからゆっくり休めって言って家を出た。
午前10時、ガキからメールが入る。
「お弁当作ったから、会社に持って行っていいかな?」
「良いけど来れるか?」って思ったけど、ガキは俺の遭難騒ぎの時に
会社に来たことあったはずだよな。
午前11時55分に俺の仕事する部屋にガキが到着。
「皆さん、お仕事中ごめんなさい。
お兄ちゃん、送れてごめん。はい、お弁当」
課内全員立ち上がって大騒動。
「この子かー。」
「かわいいね。しっかりしてるね。」
「良い子ね。お嬢ちゃん、歳はいくつ?」
「あら、もっと年下に見えたわ。」
「おい、弁当開いて見せろよ」
「すごいじゃないか。全部君が作ったの?」
うん、俺としては鼻が高いよ。
「皆さん。イモきんとん、よかったら召しあがってください。」
えっ、俺の弁当と同時進行で作ったのか?
しかも100均で買った使い捨ての皿と匙を添えている。
「あのね、お兄ちゃん。総務課の○○さんにお会いしたいんだけど。」
うん、あいつなら居るけど、どうして?
「お兄ちゃんが遭難した時、病院まで連れて行ってくれたの。」
お礼してなかったの。」
おいおい、お前本当に11歳か?いや12歳になったんだよな。
昼休み、会社中がガキで大騒動だ。
口では言えないが、どうだ、これが俺の天使だぞ。
頭も良いし運動もできるし、今年は児童会の会長だぞ。
くそー、自慢したくてしかたないが我慢しなくちゃ。
ガキがみんなから取りかこまれてるのを見守っていた。
お局様が言った。
「あの子、不思議なのよね。」
12歳には見えないって言うんだろ。
「違うわ。なんだか人間じゃないみたい。」
「妖精よりは格が上なの。
そうね、まだ修行中の子供の神様って感じがする。」
このお局様、少し見える方って噂だったな。
当たらずしも遠からずってとこか。
正解は「天使」だよ。「天使」。
※元投稿はこちら >>