皆さん、こんばんは
丸一日バイクに乗って尻の感覚と距離感が麻痺している雪だるまです
ヤマハ VMAX のリターンライダー初インプレションを書きたいと思い
ます
バイクに興味の無い方、長文の苦手な方は読み飛ばしてください
まず初めにこのバイクを選んだ訳からお教えします
中学生でバイクを知り、高校でバイトに明け暮れ購入し、大学で足として・
友人との共通の趣味として大活躍してくれたのがバイクの存在でした
当時はレプリカと呼ばれるレーサータイプのバイクが花形で、当然スピード
を求め夜な夜な・早朝にと峠に通ってテクニックを競い合ってました
高校の時には、カワサキGPZ400に乗り、大学ではカワサキKR25
0・ホンダCBR400F・VFR400R等速さ自慢のバイクばかりに興
味がありました
何度も単独事故(壁に貼り付く)と修理を繰り返し、一時は天狗になるほど
速かったと思っていたのですが、上には上が居るもので峠で知り合った人に
どうしても・何をしても勝てない事を悟らされ、速さ以外に興味が無かった
ので降りることにしました
当時二十歳そこそこでもバイト・仕送り・奨学金と社会人より収入があった
ので、車へ転向していきました
元来の凝り性と負けず嫌いの性格から車への傾倒は激しく、バイクの事はす
っかり頭から離れていきました
それから20年弱、思い出して語る事はあっても所有したいと思う事無く過
ごしていたのですが、去年新型VMAXの発売を機に一気にバイク熱が再燃
してしまいました
旧型をV-MAX・新型をVMAXと表記します
以前からV-MAXの存在は知っていたし、実際高速で追っかけ合いも何度
もしてました
圧倒的な加速に負け、高速域で追いつく憎たらしい相手だとの印象でした
国産のクセに輸入車?って所も、鼻につく相手だったので正直嫌いでした
仕事の関係で新型発表会の事を知ったので、多分マスコミよりは早く情報は
入っていたと思います
そこで見たスペックに愕然としました!
国産バイクで1679CC・151PS!私の認識からはかけ離れた超ド級
のスペックです
バイク好きの友人に、情報を流してやると「やっぱり国内仕様は駄目だ
な!」と残念がってます
急いで「何で?」と聞き返すと「輸出仕様は200PSオーバーだよ」と言
うではありませんか!
車重の重い車でさえ200PSもあればサーキットでも楽しめるスペックな
のに、車重の軽いバイクにそんなエンジンが載ったらロケットのような加速
はしても曲がれない恐怖の乗り物だろうなと思っていました
その後一気に興味が湧き、本は買うはネットで調べるは一日の大半を調査に
当てていました
脳みそが偏る加速感・怒涛の加速G・扱えるパワーとどのソースにも恐怖の
文字はなく、頭の中は?マークで埋め尽くされました
なんで?そんな筈は無い!人間の操作出来る範疇は超えてしまってる筈だか
ら、一部の選ばれた人達の物だろう、でも市販されてるって事は大丈夫なの
か?
聞けば友人の乗ってるドゥカティ1098も公称157PSコンピューター
を変えることでもっと馬力があがるそうだ
正に浦島太郎状態になってしまった
昔は馬力競争が激化し過ぎて、メーカーの自主規制だ排ガス規制だと衰退の
一途を辿ったかに思っていた国産メーカーがこんなバイクを市販するなん
て、知らなかったとはいえ余りに大きな衝撃を与えられた
それからは、寝ても覚めてもVMAXの事が気になり早く実物が見たくて仕
方なかったです
しかし、購入する気は無く興味本位でした
ある日新聞社の友人から連絡があり、「マスコミ向けの説明会があるけど行
くか?」と聞かれたので、日程も聞かずに「絶対行く!」と返事しました
当日友人を迎えに行き、バイクに興味の無い友人に知っている知識を披露し
ても「ふ~ん」とまるで暖簾に腕押し状態にイライラしながら会場に入りま
した
そこで見たVMAXの存在感は「なんじゃ~!これは!」と言ってしまう程
衝撃的でした
大きさもさる事ながら、そのデザインに一目惚れしてしまいました
年を重ねるにつれて大きくなっていくお腹の脂肪も、このバイクなら貫禄に
見えるのでは?との自分に甘い判断もありました
価格を見て二度目の驚き
値段の高い物への執着は自己評価の低さと比例すると言いますが、正にその
通りで高い物・限定物に目がありません
一気に購入意欲が増しました
それから進展する事無く仕事に追われる日々が続き、忘れかけていました
彼女に出会い気持ちが若返り、昔の気持ち良さをもう一度味わいたくなりリ
ターンを決意しました
そんな経緯で今日の日を迎えた訳ですから、テンションは初めから最高潮で
す
前日の仕事は当然手に付かず、帰宅後の彼女との会話も上の空で「子供みた
いにはしゃいでるね」と言われてもニコニコしながら用意をしていました
寝たのか?と疑うほどに時間の経過を覚えています
待ちきれなくなり着替えを済ませてコーヒーを飲んでいると「おはよ、そん
なに待ち遠しいならお店で待ってれば良いのに」と言われ、「そうだね!行
ってきます!」とヘルメットを持って家を出ました
大通りまで歩き、タクシーに乗ると「事故か故障?」と聞かれたので「今か
ら引き取りに行くんです」と答えると、運転手さんもバイクに乗るそうで、
ず~と会話が途切れる事無く楽しい時間が過ごせました
VMAXの購入は、メーカーから整備の出来る環境と技術を認定されたYS
Pからだけしか購入する事が出来ないので、家からは少し離れた店での購入
になりました
少し早く着き過ぎたので、近くのファミレスに入りバイク屋が見える席に陣
取りました
朝からヘルメットを持って一人で来店して、窓際から外を眺める中年を奇妙
に思ったかも知れませんが、気にもなりませんでした
見慣れた店員が一人また一人と出勤して、開店準備を始めました
すると、奥のガレージから店先に私のVMAXが出てきました
堪らずファミレスから飛び出し、開店準備途中にも関わらず愛車に近付き跨
りました
店長が出てきて、笑いながら「やっぱり!開店が待てなかったんですね」と
話かけてきました
「どうぞ、キーです」と差し出されたキーを両手で受け取り、ゆっくりシリ
ンダーに差し込みました
この瞬間から自分のバイクになった実感が出てきました
マルチファンクションディスプレイのウェルカム表示?を見て感慨ひとしお
です
セルを回してエンジンが掛かると、図太いV4独特のアイドリングと振動が
やけに心地良く、走る前から幸福感に包まれました
暫く浸っていると「納車書類と説明をしますので中にお入りください」と愛
車から引き離そうとする店長の言葉に後ろ髪を引かれる思いで従いました
残金を携帯から振り込み、確認が取れた所で説明も終わり、余りの高機能に
時代を感じました
このバイクは車のように装備がハイテク化されています
店を出ると前にお会いしたVMAXのオーナーさんがいて、「お祝いに顔を
出した」と言ってくれ、ノンアルコールのシャンパンで祝ってくれました
店の計らいでなく個人の付き合いでサプライズを用意して頂けた事に感謝し
まくり、この店で買った事の幸せを感じました
午前中だけ一緒に走ってくれるとも言ってくれて、心強くなりました
二台のアイドリングを聞いていると、店長が「後で付けるのが面倒だからリ
ミッターパルスも付けたから気を付けてくださいね、でもナラシなら関係な
いか」と言ってきました
「慣れるまでは危ないから、後に付けます」なんて言ってくれてたのに…
納車の段階で強制制御がなくなってしまった
喜ぶべきか?怖がるべきか?
ヘルメットを被れば振動は伝わってくるが排気音は本当に小さくなってしま
った
先日の旧型に比べると半分くらいに感じる
緊張しながらギアを入れ、クラッチを繋ぐ瞬間は感動で指先が震えるのが分
かりました
アイドリング状態でも何の不安も無くスルスルと動き出し、トルクの恩恵を
再認識させられました
車道に出て加速すると、ナラシの上限4000なんて必要なく、流れに乗る
ことが出来ます
前知識で3速3000位で80キロに達すると知っていたので、これで十分
なのだが無駄に変速を繰り返し馴染ませていく
この作業が楽しい
すると、前を走ってくれていたオーナーさんがスタンドに入ってくれた
余りに嬉しくて給油を忘れる所だった事に気づき、いきなりガス欠の恥ずか
しい思いをしなくて助かった
ハイオク指定だが空っぽでも15ℓしか入らないので車とは大違いだ
二台のVMAXの登場で、スタンドの視線を集めていると店員に「いいです
ね~」なんて言われ嬉しいやら恥ずかしいやら…
オーナーさんに「150キロを目安に入れれば大丈夫」と言われ、これから
の1000キロで何回入れなければいけないかと考えると嫌になった
いろいろコースを考えていたのだが、オーナーさんが「いい道を教えてあげ
る」と言ってくれたので付いていくことにした
慣れないバイクで初日のナラシと二台で走るには面倒臭い相手にも関わら
ず、優しい人で助かったと思ったのもつかの間、郊外に出て車が少なくなる
とペースを上げだした
しかしこのバイクはまるでオートマのように変速が要らない
信号が無ければ、ず~と3速ホールドで事が足りてしまう
楽チンでつまらない!
ツアラーってこんなもんなんだなと納得しながら、付いていく
旧型の時は久しぶりのバイクで、低速で引っ張って遊んでいたので筋肉痛に
なったりしたが、この調子なら座敷に座って居るようなもんだ
それにコケル気がしない
低速での安定性は旧型でも感じたが、新型はそれよりも数倍安定している
速度域を上げれば違った顔を見せるのかも?知れないが、100以下なら鼻
歌交じりの楽チンスクーター並みである
コーナー手前でしっかり減速さえしてやれば、立ち上がりはほんの数ミリの
スロットル開度でスルスルと加速してくれる
ナラシが終わりラフに開ければそれは恐ろしい加速をするそうだが、今の回
転数と開け方では微塵も感じない
少し慣れた時に、寝かせた状態でスロットルを空けてしまい、リアが流れて
恐怖の片鱗を垣間見た気がした
タイヤが新しい所為もあるが、やはり一番のナラシは乗り手自身に必要なよ
うだ
教えて頂いた道は、気持ちの良い景色と高速コーナーの連続で気持ち良く距
離を稼ぐ事が出来た
お礼に昼食をご馳走し、週末の再会を約束して別れた
ここからは一人ぼっちでナラシ苦行の始まりになった
既に燃料が不安な状態になっていたので、二回目の給油をした
タンク容量は何とかして欲しいものである
満タンになったところで、苦行のメインステージの高速に向かった
流石に平日の昼間だけあって、営業車等の流れは速い
しかし何の苦労もなくスムーズに流れに乗れるし、スピードが遅い事とバイ
クと合わせればビックリする程の重量なので、横風の影響も皆無と言える
スピードジャンキーにはこのまったりスピードが非常に辛い
人に抜かれるのが苦痛で・苦痛で仕方ないが、バイクの為だと言い聞かせて
ひたすら我慢した
途中何台かのバイクに遭遇し、誘惑にも似たお誘いに感じたが、見ないフリ
を貫いた
シートに関しては、試乗記等では硬いとか幅が広くて足つきが悪いと書かれ
ているが、私の場合は丁度いい感じで安定してるように感じた
もともと身長があるので足つきに関しては気になるバイクに乗った事が無い
し、尻の肉(脂肪?)にも余裕があるので、乗り味にも文句はない
しかしエンジンの熱気に関しては聞いてはいたが、相当熱い!
ブーツを履いていてこれなのだから、軽装でなんて考えたら火傷しそうだ
エンジン剥き出しのバイクである証明なのだろうが、軟弱リターンは夏場に
乗ることは無いだろう
そう考えれば、やはり高い買い物をした
しかし、今の季節なら夜には味方になってくれそうで心強い
昔はバイクしか持ってなかったから、選択肢もなく一年中乗り回していた
そんな事を考えながら流していると、燃料が無くなって三回目の給油だ
現金で入れていたが、出すのが邪魔臭くなったのでカードに変えた
夕方からは友人と合流予定なので家に向かって帰ることにする
途中何度かラフにスロットルを開け閉めしてみたら、一瞬のタイムラグの後
強烈な加速を味わった
この加速感が続くと思うと笑顔になってしまう
家に着いた時点で400キロ強を走破していた
この調子なら1000キロは確実に超えそうだ
夜に備えて厚着をし友人の来るのを待ってる間、給油したいつものスタンド
で眺めながらコーヒーを飲んでいると、V-MAXのオーナーに話しかけら
れた
「どうですか?新型は?」そんな質問をされても今日が初乗りなので答えよ
うもなく「ナラシ段階なのでつまらないですね」と答えると、驚いた表情に
なり「しっかりナラシをしてるなんて珍しいですよ」と言われた
大きなお世話だ!
人の儀式にケチを付けるんじゃない!と言いたかったが「人間が鈍ってるの
で、そのナラシでもあるんです」と苦笑いで答えた
バイクに乗る人は誰にでも仲間意識から話しかける事を忘れていたので、新
鮮な感じがした
聞くとこの人も同じバイク屋さんの常連で、私のバイクも外装の入れ替え時
に見ていて、気になってたそうである
これだけ派手に外装を変えてたら目立つのも仕方ない
午前中のオーナーさんの話をすると、店では有名な人みたいで「あの人なら
やりかねないですね」と笑っていた
週末にまた走る約束をしたと言うと、「是非一緒に走りたい」と言われ、断
る理由も無いので約束して別れた
どんどん仲間が増えていく
車でスタンドに来た客も、VMAXを見つけて降りてくる人もいて潜在的な
購入者は意外と多いのではないかと嬉しくなった
友人と合流して走り出そうと思っていたら「少し運転させて欲しい」と言わ
れ「傷が付いたら全額弁償を約束出来るならいいよ」と言うと、少し迷いな
がらも乗っていった
残されたドゥカティに跨ってみたが、乗る気にはならなかった
私には小さく感じる
数分後帰ってきた友人によると、非常に素直なハンドリングで重量も気にな
らないと高評価であった
この友人もスピードジャンキーなので、回転は上げてると思うが、腹が立つ
ので敢えて聞くのをやめておいた
夜間走行も不安はあったが、ライトをHIDに変えてあるので車並に明るく
とても走り易かった
苦行はこれからが本番だった
とにかく寒い!昼間は心地いい位に感じていた風が、冷たい矢になって刺さ
ってくるようだった
厚着をしてカイロも張ってるので体は大丈夫なのだが、グローブが薄かった
のか?手と顔が寒さに耐え切れなくなってきた
クラッチ操作もブレーキ操作も緩慢になってきて、危険を感じたのでSAに
逃げ込んだ
友人も同じ気持ちだったようで、二人共エンジンで手を温め顔を見合すと、
口の周りが赤くなり変な顔になっていた
金曜の夜中にバイクで走ってる人は居なくて、駐輪場は貸切状態だった
フルフェイスの顎の部分に貼り付けるシートが売っていたのだが、そこまで
は寒くないだろうと思って失敗した
遅めの夕食もついでに取り、給油をしてスタート
本当に気に入ってるのだが、タンクの容量だけは倍にして欲しい
アフターで欲しいパーツの一番になった
デザイン優先なのか?知らないが、カブ位の燃費ならいざ知らず、大排気量
の大飯喰いには余りに小さ過ぎる
高速ばかりで距離を稼ぎ、友人がつまらないと言い出したので、彼のホーム
グラウンドの峠に行ってみた
明るく成りかけてたのでまだ車の数は少ないが、この峠の常連達が元気に走
っていた
友人は水を得た魚のようにペースを上げて走り去ってしまい、邪魔にならな
いラインを選んで走るのに苦労した
広くなった所で休憩してると、友人が仲間と戻ってきて「コケテルかと思っ
たよ」と心配してくれていた
「お前が速すぎて見失っただけだろ」と言い返しながら周りを見ると、友人
以外の興味はVMAXに集中していて、安物のコントに感じた
しかし、どの峠でもそうらしいのだが、年齢層が高い
バイクは若者の乗り物だとばかり思っていたが、ここの平均年齢なら若い部
類に入りそうな勢いだ
若者の車・バイク離れと言われるが、正に目の前の光景が証明してくれてる
と思えた
矢継ぎ早の質問には些か閉口してしまったが、概ね金額とパーツの質問ばか
りでつまらなかった
大型車が多いのと、レプリカでもピカピカに磨かれていて、昔のようにガム
テープ補強や缶スプレー塗装の後なんて見れなかった
年齢層からかも知れないが、少し寂しい感じがした
若者の元気な走りが見たいもんだ
距離も1000キロ弱までになっていたので、開店までの時間をこの峠で過ご
し、山を降りた
開店直後のバイク屋に入り、店長の「どうしましたか?何かありました
か?」の決まり文句に「初回点検で持ってきたよ」と満面の笑みで答え、驚
く顔を楽しんだ
店長曰く3人目だそうだ
やっぱり同じ馬鹿は居るもんである
常連さん達も来店し始めたのだが、余りに眠くなったので一足先にお暇させ
て貰った
以上が[ナラシ苦行紀行]です
バイクに乗ると一人の時間が多い所為か?皆さん人懐っこくて温かく迎えて
くれました
今までの生活には無かった人との交わりをもっと楽しんでいきたいと思いま
す
ホントにリターンして良かったと思います
ありがとう!VMAX!
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