長野キャンプ旅行記
久しぶりにGWに長期休暇が取れそう(無理やり?)だったので、彼女と旅行でもしようと思い立った
卒業旅行を諦めさす変わりに、沖縄等の南国・島・綺麗な景色をキーワードに連れて行く約束をさせられていたので、暑いのが苦手な俺はこの時期ならまだ我慢できるかな?と思ったので、会社で付き合いのある旅行会社で見積を作って貰った
沖縄・宮古島・ハワイ・グァム・バリ・パラオ・モルジブ等を持ってきた
国内は言葉に不安が無く安心だが、折角の旅行なので異国情緒も味わいたいし、値段もそんなに変わらないので、海外にしようと思っていた
ハワイ・グァムは何度も行ってるので、前々から寺院巡りに興味のあったバリを第一候補に考えていた
意気揚々と自宅に帰り、夕食を食べながらパンフレットを彼女に見せて計画を話してみた
俺「GWなんだけど、何とか連休に出来そうだから、ゆっくり旅行にでも行かない?」
彼女「良いけど、何処に行くの?」
俺「色々考えたんだけど、約束してた南の島ってどうかな?」
彼女「えっ!宮古島?」
俺「それも考えたんだけど、今回はバリなんてどうかな?」
彼女「バリ?何で?」
俺「景色も良いし、オプションのツアーも魅力的だよ」
彼女「でも高いでしょ?勿体ないよ」
俺「値段は大して変わらないんだよ。それなら海外の方が旅行って気分になるんじゃない?」
彼女「う~ん。でも私パスポート持ってないし、行くならもっと調べてから行きたいから今回は国内にして欲しいな」
俺「国内なら沖縄か宮古島の見積りはあるよ」
彼女「高いよ、これ!前に聞いたの三分の一以下だったよ」
俺「それは学生のパック旅行の代金だからじゃない?当然ホテルのランクも違うし、飛行機のクラスも違うからね」
彼女「え~!こんなにお金使うの勿体ないよ!もっと安い楽しみ方考えよ」
俺「そうかな?近場の旅行でも結構かかるよ。特に旅館なんかに連泊したら、かえって高くなったりするんだよ」
彼女「じゃ、家でのんびりしてれば、お金もかからないし楽しいよ」
俺「折角、連休に出来るんだから旅行したいよ」
彼女「じゃ、ず~とじゃなく、1・2泊だけ旅館にすれば良いんじゃない?」
俺「それじゃ連休にする意味が無くなってしまうよ」
その日は、これといった解決策も出ないまま旅行の話しはお預けになった
会話からも分かる様に、最近では彼女の方が節約家と言える
一点豪華主義を自負する俺は、使う時にはケチケチしない性格なので、見積りの額に驚いてしまったのかも知れない
仕事中にも連休の事を考えて、今思うと相当ボーとしていたに違いない
贅沢な旅行を喜ぶとばかり思っていたので、意外ではあったが反面シッカリした彼女を見れて嬉しくもあった
安く過ごすならキャンプだ!
小さい時から、カブスカウト・ボーイスカウト・シニアスカウト・ローバースカウトと小3~大学まで携わっていたので、大の野外泊好きになってしまって、野宿旅行なんかも大学の時は楽しんでいたので、彼女にもキャンプの楽しみを教えてあげたくなってきた
俺「昨日話してた連休なんだけど、キャンプにしようか?」
彼女「キャンプ?」
俺「そう、テント張って!」
彼女「え~!小さい時連れて行って貰ったけど、虫は一杯居るし、暑かった記憶しかないな~」
俺「夏に行ったからじゃない?今なら涼しいし、虫も少ないよ」
彼女「でも道具は?」
俺「持ってるよ。貸倉庫に入れてある。最近のオートキャンプは、便利な日常を如何に不便な屋外に持って行くか?を競う様なキャンプスタイルだから、食事もスクリーンタープと言って蚊帳の中で食べるようなもんだから、虫に悩ませられる事なんて無いんだよ」
彼女「へ~、そうなんだ」
俺「トイレも綺麗な水洗が完備されているキャンプ場も多いから、予約出来れば安くノンビリ過ごせるよ」
彼女「お風呂は?」
俺「勿論、温泉!どうせやる事無くなるから、温泉地巡りになるよ」
彼女「温泉巡りは行きたいな~」
俺「じゃ、明日にでもキャンプ場の予約してみるね」
こんな会話で、温泉巡りに彼女はつられた
会社でキャンプ場に予約を入れると、スンナリ取れた
流石に一ヶ所で七連泊する人は珍しいようで、管理人さんに「景色が良くて静かなサイトを希望します」と我が儘を言っても「ゆっくり出来るサイトにしてあげる」と協力的な対応をしてくれた
場所も確保出来たので、彼女の気分を盛り上げる為に、アウトドアの本を買って帰った
彼女も学校の友達にキャンプの話を聞いてきたようで、楽しそうに報告してくれた
そこで一つ大きな落とし穴が待っていた
彼女「本見てたんだけど、私こんな服を持ってないよ」
俺「服なんて何だって構わないよ。動き易くて・汚れても良い服の方が楽しめるから」
彼女「だから、動き易くて・汚れても良い服を持ってないの!」
確かに彼女の服はアウトドアには不釣り合いな服がばかりだ
普段着は全てスカートで、部屋着か短パン以外のパンツスタイルを見たことがない
ジーンズは持ってるみたいだが、何年も履いて無いらしく、形が古くて嫌なんだそうだ
困っていると「キャンプが好きになったら又行きたくなるから、買ってもいい?」と笑顔で聞いてくる
俺「好きになったら?だろ?」
彼女「じゃ、最悪行きたく無くなっても、普段でも着れる服にするから」
この流れで逆らえる程彼女に対して強くない
俺「分かった。週末に専門店に行くから、それまでに考えておいて」
彼女「分かった!」
と言ってキスをしてくる
毎回このキスで散財してる気がするが、甘やかしてしまう
それから彼女は積極的に本を買ってきたり、ネットで調べたりとキャンプに興味を持ってくれたのは嬉しかったが、男なら道具から入る興味が彼女の場合は服だと理解するのに時間が掛かった
調べ始めると、料理好きの彼女が献立を相談し始めた
調理道具の扱いや種類が分からないから決められないとボヤいている
俺としてはアウトドア料理は、男が豪快にアバウトな調理?した方が美味しいと思っているので、「料理は俺がするから、片付けだけ手伝ってくれればいいよ」と言った
喜ぶと思って言ったのに「じゃ、無駄な食材を買いたくないから、献立を教えて?」と聞かれた
全くのノープラン・行き当たりばったり作戦(いつもの事)だったので「まだ考えてないし、気分で決めて良いんじゃない?」と答えると「やっぱり!」と呆れられてしまった
次の日から[アウトドア・クッキング]なる本を買い献立を考える日々が始まった
何せ7泊8日もあるので、飽きない・手間を掛けない・美味しいなんて全てを満足させる献立なんて無理!
最初の2日位だけ決めて、後は現地で買い出しに行く度に決める事にした
週末に彼女の買い出しに出掛けた
今時のアウトドアショップは、女性をターゲットにしていて特設コーナーまで作ってあった
トレッキングや軽登山用の所にはおば様達が陣取り、購買欲を刺激され似合いもしない華やかな色のウェアを選んでいた
彼女は圧倒されたのか?近くにも行こうとしないので「凄い雰囲気だね。店を変えようか?」って助け船を出すと「あんな派手な服じゃなくて、アースカラーのが欲しいの」と行ってきた
直ぐに欲しがってるブランドは分かったが、高いのも知ってるので「ここでも探したら気に入る服があると思うよ」と言ってみたが、真剣に探す気は無くなってるようだった
「じゃ、mont-bellの直営店に行く?」と聞くと「えっ!何で分かるの?」と驚いた顔をした
「テーブルの上に本が開いて置いてあったから、催促のつもりなんだなって覚えてたの!」と少し意地悪を言ったら「え~!そんなつもりじゃないよ!いいな~って見てたけど…」と笑顔に変わった
やっぱり彼女の作戦だったなと確信した
直営店に着いた彼女は、さっきの店とは違い、積極的に動き回り、試着も重ねて選んでいった
まったく!分かり易い性格である
行き先が長野の高地にあるキャンプ場なので、朝夕は冷え込む事が予想出来た
売り場にはまだ冬物も有ったので、寒がりの彼女に防寒着も薦めておいた
気に入った服が買えたようで、帰り道で彼女はご機嫌だった
着々と準備が進み、前日には車も知り合いに借りて準備が整った
借りた車にキャンプ道具を満載にし帰宅すると、彼女の荷物の多さにビックリした
まるで引っ越しのようである
服ばかりで大型のダッフルバック2つだ
因みに俺の服は小さいバックでもまだ入りそうな位だ
借りた車が大型の1BOX車で、積むには余裕が有ったので、細かい事を言うのは止めた
連休の渋滞を避ける為に、少し仮眠して夜中に出発した
始めこそ渋滞もどきに遭遇したが、道中はスイスイ走れ予想以上に早く着いてしまったので、キャンプ場脇の大きな駐車場で車中泊になった
彼女はいつもの如く、助手席で爆睡中
若さの特権か?ホントに一度寝ると、まず起きる事がない
運転で気持ちが昂っていて、なかなか寝付けないので、少しトイレを兼ねて散歩に出た
天気予報では崩れないと言っていたのに、本格的な雨が降っていた
キャンプの設営と撤収の時の雨は最悪なので、何とか朝までにはあがって欲しいと願っていた
タバコも数本灰にしてから車に戻ると「ここどこ?」と彼女が珍しく目を擦りながら聞いてきた
「高速が空いていたから、もうキャンプ場に着いてるよ」と答えると「へ~、意外と近いんだね」と言った
そりゃ走り出して1時間もしない内から寝てたら近くも感じるだろうが、既に明るくなりかけてる空を見れば6時間が経ってるのが分かりそうだけどね!とは言えなかった
前に白骨温泉に来た時も近いと勘違いしたらしく、週末に「また白骨温泉に行こ!」とスーパー銭湯行くのと同じ口調で言ってくる
<寝て起きたら目的地>と勘違いしてるようだ
距離感を教えなくては…
雨が降っていても、明け方は冷え込んていた
遠くの山肌には、まだ残雪も見えている
トイレから戻った彼女も「寒い・寒い」と言ってるので、エンジンを掛けたまま後部座席に移り、寝袋を広げて、横向きに座り彼女を後ろから抱き締めながら眠り始めた
疲れが眠気に変わりウトウトし始めると、反対に彼女は目が覚めたようで、あれこれと話掛けてくる
「少し寝るよ」と言っても笑いながら話を止めてくれないので、脇を両手で掴んで「寝ないとくすぐるよ」と脅すと、やっと黙ってくれた
少し寒く感じて目を開けると、太陽が出て明るくなっていた
抱いてた筈の彼女の姿がなく、掛けていた寝袋の足元が捲れてたので寒かったようだ
周りを見渡すと、雨上がりの綺麗な景色が広がって、白樺と山肌を立ち上るガスがより一層美しく目に映った
彼女を探すと、近くの車の脇で犬と遊んでいた
飼い主と思える年配のご夫婦と楽しそうに会話しながら犬とじゃれている
とても楽しそうにしているので、声は掛けずにもう一度寝ようとしてみたが、目が覚めてしまった
車から出て彼女に近付くと「この人が彼なの?」と彼女に奥さんが尋ねた
「そうです。言ってた通りでしょ」と笑いながら彼女が答えた
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