長野キャンプ旅行記4
手打ちした麺は手作り感満載で、太いの細いの長いの短いのと見せ合い笑い合いながらの昼飯になった
覚えの無い太いきしめんのような蕎麦は、材料の味がダイレクトに感じられ、それはそれで美味しく食べられた
彼女と2人で「家でも作ってみる?」と意見が合い、早速、大皿のようなコネル為の木製のボウルと延ばし棒を土産物として購入した
材料の蕎麦粉は鮮度が良い方が美味しいらしいので、作る前にネットで購入することにした
家での楽しみが増えた
近くの旅館の日帰り風呂を利用する予定なので、時間潰しの案も無く、温泉街を散策する事にした
流石はGW、カレンダー通りなら平日の筈なのに人で溢れ返っていた
人混みが苦手なので行きたく無かったが、風呂には時間が早過ぎるので仕方無く彼女に付き合った
長野名産の野沢菜を買おうとするので「帰りにスーパーで買った方が安いよ」と言うと「そっか!地元だもんね。今晩食べたかったから買おうと思った」と照れ笑いしていた
夕食は薪を使って、ダッチオーブンで作る蒸し鶏を予定してたので、スーパーには買い出しに行かないといけない
キャンプの大変な所は、食材の保管と調達である
クーラーBOXは保冷効果はあるが限度があるので、気を付けないと食材をダメにしてしまう可能性がある
毎日食材を調達して、その日で使い切るのが理想的なので、ついつい作り過ぎ・食べ過ぎの過ぎづくしになるのかも?知れない
そこに屋外での食事と言う最高のスパイスが加わるので、仕方無いのだろう
本当に外で食べる食事は美味しく感じる
きっと狩猟本能が人間には残っていて、昔のDNAが美味しく感じさせてる気がする
だから料理も野蛮な料理が美味しく思えるのだろうか?
魚なら丸焼きの塩焼き、肉も焼くだけのBBQ等関係あるかも?知れない
歩き疲れたので喫茶店に入る事にした
僅か数百mの土産物屋を通っただけで、彼女は訳の分からないガラクタにしか見えない土産物を沢山買っていた
友達用のご当地キューピー人形やお菓子、母親用に和紙で出来た小物入れ、父親用の灰皿等貰っても本当に喜ぶのか?疑問の残る物ばかりだ
まだまだ日数も行く所もあるのに「可愛い~!」の価値基準だけで選んでいる
喜んでいるので構わないのだが…
帰りの荷物が増えるのだけは間違いなかった
喫茶店に長居も出来ないので、少し早いと思ったが旅館に向かう事にした
フロントで聞くと「清掃中なのでお待ちください」と言われてロビーのソファーに誘導された
お茶と和菓子を無料で出してくれたので、喫茶店に入った事を後悔した
暫くすると「清掃が終わったようなので、少し早いですがお入りになりますか?」と言われたので入る事にした
一番風呂だ!
源泉掛け流しがウリの旅館なので、一番風呂は関係無いかも知れないが気分が良い
誰も居ないと思っていたが、既に泊まり客が入っていて、少しガッカリ
1泊数万円払って泊まってる客と僅か千円の客とでは差を付けられて当然か?
内風呂に檜を使い、露天には大理石や大きな岩を使った豪華な岩風呂は気持ちが良かった
タオルも歯ブラシもカミソリまで使い放題に置いてあり、気分だけは泊まり客になっていた
日帰り客はお得だ!
気分良くロビーに戻ると、彼女もニコニコで「昨日の温泉と段違い!化粧品も使い放題に置いてあって、お客さんも上品で昨日のババァにみせてやりたい!」とまだ根に持っていた
途中のスーパーに寄って買い出しを済ませ、キャンプ場に戻った
早速、お隣の犬を見つけて遊びだし、食料品運びは1人でさせられた
焚き火台に四角垂の鍋を吊り下げる道具を設置し、高さを調整していると、彼女から日帰り風呂情報を聞いた奥さんが旅館の名前を聞いてきた
俺も自信が無かったので、ガイドブックを渡し地図の印を伝えた
笑いながらお礼を言われて、今から行くそうだ
彼女が紹介業をすると、結構稼ぐかも知れない
犬と留守番を彼女が請け負ったので、とても嬉しそうにしていたが、犬は飼い主に捨てられると思ったのか?暫く悲しい声で鳴いていた
しかし、おやつ用に渡されたビスケットを彼女が差し出すと、尻尾を振るあたりが所詮食欲には勝てない動物の性なのか?
前日から遊んでいたので、犬も慣れたものでタープにも躊躇いもなく入り我が物顔になっていた
焚き火の準備を始めると「私が火の番するから!」と嬉しそうに申し出た
よっぽど焚き火が気に入ったようだ
俺は蒸し鶏の準備をする事にした
本当なら一羽丸々の形で蒸していくのだが、姿が見えると余りにグロテスクに感じるので、今回は切り身にした
切り身だけなのも寂しいので、足だけは骨付きで入れる事にする
要は、一羽分の部位は全て楽しめるが、肋骨部分が無いだけである
ケンタでも胸の骨の部分は食べ難くて苦手なので、このスタイルにした
味付けは塩と粗びき胡椒のみ、香草も入れると良いみたいだか匂いに敏感なので入れるのをやめた
蒸す為の蒸気は、肉の下に大量に敷き詰める野菜の水分を利用する
出来上がる時には下の野菜に肉汁が滲みて、両方美味しく食べられる算段だ
「いつでも持ってきていいよ~」と呼ぶ彼女の方を見ると、火が立ち上った状態だった
「そんな火力で焼いたら焦げるから、太い木を酌めて炭火状態にして」と頼んだ
さ~どうするか?見物である
正解は、強い火力の内に太い薪を2本位入れ、火が移った所で他の薪を崩して下に敷き詰めると安定した火力が長く使えるようになるのだが、彼女に分かるかな?と楽しく見ていた
言われた通り太い薪を酌めたが1本だけだった
それだと長時間の使用には耐えられない
薪に火が移ったが、周りの薪を崩して無いので一緒に燃えて炭火にならずに灰になっていく
燃えてる状態だと煙が多く、彼女も逃げ回っているが、炭火にすれば煙りも少なくなる利点もある
見ていても炭火になりそうに無いので正解を教えてあげた
「最初からちゃんと教えてくれれば良いのに!」と抗議されたが、何事も失敗して覚えた方が良いと思うので、意地悪?ではなくこのスタンスで彼女と接していこうと思っている
ダッチオーブンを吊り下げて準備は完了した
後は出来上がり前に米を炊くだけだ
日が長くなったのでまだ明るかった
良い具合に蒸気が出て、キャンプの雰囲気を盛り上げてくれる
ランタンの準備をして夜に備えた
毎日何処かのサイトではBBQが開催されているのが匂いで分かる
夕日を見ながら焚き火をしていると、遠くからビデオ撮影をして欲しい位だ
走り回るのに疲れた彼女が犬と戻ってきたので、夕食の準備を始めた
ダッチオーブンを開けると、蒸気が立ち上りいい匂いが空腹を刺激する
野菜の量が多すぎたのか?少し水分が多くて、肉が浸かってしまった
お互いの皿に取り分け、食べてみると大成功だった
塩味もよく効いていて、柔らかく仕上がっていた
肉を取り出した後の野菜にコンソメを入れて味を整えて野菜スープにした
野菜の甘味が溶け出したスープは絶品だった
彼女も気に入ったようで、「家でも作る!」と言い出した位だ
ご飯も炊いていたが、殆ど食べられない位満腹になってしまい、明日の朝食用におにぎりにして貰った
満腹で後片付けも邪魔臭くなり、焚き火で暖をとりながら寛いでいると、お隣さんが帰ってきた
さっきまで彼女に甘えていた犬が、やはり飼い主には従順で走って迎えに行った
お隣もお風呂が気に入ったようで、お礼に温泉饅頭を貰ったが食べる余地は残って無かった
夕食を済ませてきたみたいで、昨日に引き続き焚き火を囲んで会話を楽しんだ
奥さんは専業主婦だったようで、彼女に「仕事はした方が良いよ」とか「専業主婦はつまらない」とかアドバイスを始めて、まだ大学生なのにと思いながらも聞いていた
お子さん達も独立していて結婚を早くして欲しいとボヤいていた
多分俺の親も、旅先の知らない人に「孫の顔が見たい」なんて言ってるんだろうな~と思いながら聞いていた
早く起きていた彼女が眠そうになったのでお開きにした
彼女をテントに入れて、俺は夕食の後片付けをした
テントに入ると、既に寝息を立てて寝てしまっていた
今日も1日全開で遊んでいたので疲れたのだろう
起きてる時は生意気に意見したりする彼女も、寝顔はまだまだ幼さが残る感じが愛しさを増幅させる
起こさないようにゆっくり隣に寝転び、頭を持ち上げて腕枕の体勢にして抱き締めた
夜の冷え込みも厳しく感じてたので、抱き合ってる位が丁度良い温度に感じる
彼女も無意識に胸に顔を埋めてきたので、オデコにキスをして寝た
明け方の冷え込みが気になり目が覚めた
彼女はまだ腕の中で寝ていたが、吐く息が白くなる位だった
もう5月になるのに、山の気温は1ヶ月は違っているようだ
顔に当たる冷気を避ける為に寝袋に深く入ってみたが、やはり二度寝が出来ない習慣になってしまっている
朝日も当たっていたので、6時位かな?と思いながら寝転んでいた
彼女の髪を指でとかしながらオデコにキスをしていたら「おはよ!」と目を覚ました
「おはよ。寒くない?」とキスをしながら聞くと「今は寒くないよ」と答えた
強く抱き締めながらキスを繰り返していると「するの?」と聞きながら股間を触ってきた
「しないよ、可愛く思えたから抱き締めてたんだよ」と言ってキスをした
「嬉しい」と言って顔を胸に埋めた
暫くその体勢で寝袋に入っているとガサガサ音がして、見てみるとテントに犬の影が映っていた
彼女が犬の名前を呼ぶと、ワンワンと返事をして遊ぶのを催促しているようだ
昨日一緒に散歩したようなので、覚えたのだろう
彼女も嬉しそうに寝袋から出たが、余りの寒さに直ぐに戻ってきた
意を決して再び立ち上がり「寒い・寒い」と連呼しながらベンチコートを着てテントから出て行った
残されると余計に寒く感じたので、急いで上着を着て焚き火に火を点けに外に出ると、彼女が用意してくれていた
朝から雲の無い快晴だったので、放射冷却で寒くなったんだろうと考えながら焚き火にあたっていた
「おはよう。今日は一段と寒いですね」とお隣のご主人に挨拶された
お隣もBBQコンロで炭を燃やしてるそうだ
2人で焚き火にあたりながら、今日の予定を話し合った
ご主人「今日はどこか出掛けるの?」
俺「まだ考えてないんですが、昼には出ると思います」
ご主人「もう少し暖かくなったら山に行こうと思ってるけど一緒にどう?」
俺「トレッキングですか。いいですね~。コースは?」
ご主人「家内がいるから、10キロ位の平坦なコースを考えてる。ちょっと物足りないかも知れないけどね。散歩代わりにはなるよ」
俺「2人とも初心者だから迷惑じゃないですか?」
ご主人「構わないよ。大した差は無いから」
俺「じゃ、お言葉に甘えてご一緒させてください。彼女も喜ぶと思います」
ご主人「じや、昼前に」
俺「分かりました。準備をしておきます」
どこに行くかも聞かずに、予定を入れてしまった
犬の散歩から帰ってきた彼女に「今日はお隣さんとトレッキングに行く約束したよ」と言うと喜んでくれた
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