次の週には、私立の入試を控えていました。
私は彼氏に誘われて、学校の帰りに彼の部屋で一緒に勉強することになりました。
彼は勉強が進まなくて、私は受ける学校の過去問も夏休みからやっているから解き慣れているし、ネカフェでのこともあったしと、どちらも手につかないでいたときに、彼が話しかけてきました。
「俺、あいなと同じ高校行けなかったら、どうなるんやろ」
彼は切実だったかもしれないですが、私にはどうでもよかった話でした。
「あいなはさ、1年のときT先輩とどこまでしたん? Kは、キス以上のことさせてもらえないから別れたって言ってたし」
今度は元彼の話を聞いてきました。私は言葉を濁して答えるのを避けたけど、その二人とは普通に学校から一緒に帰ったり、休日に映画やゲーセンに行ったりしただけでした。
ふーんKって私とキスしたことあるみたいに言ってるんだー、ぐらいしか思わなかったです。
彼が本棚から参考書をとるふりをして立ち上がり、本棚の前を通って私の後ろに座りました。両手をお腹に回してきました。
「母さん帰ってくるの18時ごろやって。なあ、触っていい?」
そう言いながら私の返事も聞かずに彼の手がゆっくり上がってきました。
一瞬ネットカフェでのあの感覚が頭をかすめましたが、今、彼ママはいない。この家には、私たち二人だけ…
「やめて!」
普段出さないような大きな声が出ました。
「ごめんね、まだ人に触られる心の準備ができてないから…二人そろって私立受かってからにしよ、ね」
私は後先のことを考える余裕がなく、その場から逃げることしか考えていませんでした。
彼は何かに期待したのか、私から離れました。
ごめんと言うときの彼の目線は、私の顔を見るというよりは少し下に向いていました。
彼の表情を見て、期待させてしまった自分を後悔しました。
せめて公立受かってから、と言うか、同じ高校に受かってからと言えば良かったと思いました。
彼か私か、どちらかが私立に落ちることを願っていました。
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