あるとき美沙子ちゃんが私に聞いたことがあります。それは、
「美沙子と美智子先生とやるの、どっちが気持ちいい?」という困った質問でした。
どっちも、と答えたけど一番を答えろと詰め寄るのです。
正直に言えばフェラも挿入も美智子先生と美沙子ちゃんとでは大きな差がありました。困って下を向くと答えを察した美沙子ちゃんがポツリと言ったのです。
「そっか、そうだよね」と。
焦りました。私はセックスの快感の事だけしか考えてなく、先生と美沙子ちゃんのどっちが好きかと聞かれれば迷わず美沙子ちゃんの方が好きと答えたはずでしたから。
学校帰りの田舎道です。
もうすぐ美沙子ちゃんの家に向かう会社の看板が見えてきます。
何とか取り繕わなければと焦れば焦るほど言葉が出ません。
何故か涙が流れだし、立ち止まると美沙子ちゃんが振り返り、2歩戻ると何故泣くのかと私に聞くのです。
ようやく何度も何度も心のなかで繰り返した言葉を吐くことかできました。
「オレ、美沙子ちゃんが好き……先生よか美沙子ちゃんがスキ」
私は下を向いていたのでその時美沙子ちゃんがどんな表情をしてたかは分かりません。
美沙子ちゃんが言ってくれた言葉です。たぶん、私のこれまでの人生の中で最も幸せな記憶に残る言葉だと思います。
「カズシ、美沙子ね、そんなことちゃんとわかってるから……美沙子もカズシが一番スキだから」と、
そして皆、自分のことをチヤホヤするけど本当は嫌ってること、学校の中で私一人だけが好きでいてくれることを知っているからと言いました。
「今はまだだけど、先生よか上手になるからさ、待っててよ」そう言ったのです。
そして私の手を握ると「ほら、カズシ帰ろ」と言って引っ張るのでした。
手を繋いで歩いていると間もなく美沙子ちゃんの家の会社との分かれ道です。
手を振って別れるとき、美沙子ちゃんが照れたように微笑んで呟きました。
「こないだは吐いちゃってゴメンね」と、「え、ナニを?」と超鈍感なガキの私が聞き返すと「もお、カズシのバカ!」と叱られてしまいました。
それでも笑顔でバイバイと手を振る美沙子ちゃんに手を振り返して別れましたが、その言葉の意味に気づいたのは随分と歩いてからです。
前から1台のワンボックス車が来て私の前で止まりました。美沙子ちゃんのパパでした。
運転席の窓が開くと、おかえりと言われて私が頭を下げると、「美沙子は?」と聞かれたのでさっき別れましたと答えました。
いつも送ってくれてありがとうと言われ、その後に「美沙子は和志君が優しくて一番好きだって言ってるんだよ、これからも美沙子に優しくしてあげてな」
パパは笑顔でそう言うと車は走り去りました。
エロエロな話は沢山あります。
でも、こんな仄仄とした話も私にとっては忘れられないエピソードなのです。
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